2012年3月29日

じいちゃんとばあちゃんのなれ初め

じいちゃんに、ばあちゃんとのなれ初めを聞いたことがある。この話を亡くなったじいちゃんの枕もとで、従弟に聞かせていたら、
「なんでそんなん知っとっと!?」
と驚いていた。子どものころから、じいちゃんやばあちゃんの思い出話を聞くのが好きだったからかな。

じいちゃんは第二次大戦のころに満州へ行った。兵隊としてではなく、満蒙開拓民というものだ。じいちゃん曰く、
「開拓した土地は自分のものになると言われたから」
そこで知り合ったのが、ばあちゃんの兄だった。その人と仲良くなって、
「俺の妹を嫁にもらってくれんか」
と言われて、会ったこともないばあちゃんを嫁にする約束をしたらしい。

日本に引き揚げて、じいちゃんはばあちゃんの家まで歩いて行った。いまの地図で、直線距離で片道だいたい5km。当時の道だと、そうとう曲がりくねっていただろうから、10kmはないにしても、それに近い距離はあったかもしれない。ばあちゃんの実家は山の上にあった。きつい坂道を上りながら、じいちゃんは思った。
「こんなところに住んでいる女性なら、きっといい農業をするだろう」
そして、それで心が決まったらしい。

なんという身も蓋もない話。恋とか愛とか、そういうのはあとからついて来るなんて、そんなことさえ思わなかっただろうな。じいちゃんとばあちゃんが結婚したのは、そういう時代だったのだろう。恋も愛もなく始まっただろう結婚生活で、ばあちゃんはじいちゃんの厳しさに何度も泣いたらしい。じいちゃん、妻であるばあちゃんにだけは厳しかったそうだ。手も上げないし、口汚く罵るわけでもなかったようだが、口調はきつかったんだとか。ばあちゃんにしか本気でぶつかれなかったのかもしれない。だから、ばあちゃんは泣きながら結婚を後悔したことも何度となくあると言っていた。

そんなばあちゃんが、じいちゃんが亡くなってショボくれた。叔母が言っていた。
「ボーっと物思いに沈んどらす時が多いよ」

いま現在、ばあちゃんには100歳を目指せと叱咤激励しているところである。

4 件のコメント:

  1. うちはお祖父様が亡くなられてから祖母の認知症になってしまいました。
    徐々に来るから気づきにくいですか、いつもより注意深く言動をみてあげたほうがいいかもしれませんね。

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    1. >あー太
      専門家の俺が目を光らせているから大丈夫だと思う。

      という油断が危ないんだよね。
      気を付けようっと。

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  2. ししとう432012年3月30日 2:23

    そう言えば、隣の家のオッサン(故人)は、戦場で戦友に「妹を嫁に貰ってくれ」言われて結婚した。
    珍しくも、奥さんの方が先に逝ったけど、孫(娘)ができて同居し始めてから、元気が良くなった。
    死に際も、朝方に、台所で冷たくなって倒れてるところをその孫に発見された。

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    1. >ししとう43さん
      やっぱり戦友からそう言われることって結構あるんでしょうね。最後が台所で冷たくなっていたのがちょっと寂しいなと感じますが、実際にはその人のことだから分かりませんね。

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