2012年6月18日

写真には、撮る人の内面が写る

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目をつぶったり、よそ見をしたりと、敢えてそういうフェイントを入れない限り、基本的に、カメラを持った人が見ていないものは撮れない。だから、写真はすなわち撮る人の視点そのものと言っても良い。撮影知識やテクニックは、あるに越したことはないが、枝葉に過ぎない。

デジカメ時代でシャッターが気軽に押せるようになった。フィルム写真で現像代などあれこれ考えて撮っていた時代に比べると、撮影者の被写体に対する素のままの想いが顕われる。写真を公開する場合には、たくさんある写真の中から数枚を選ぶ。その選び方にも、被写体への気持ちがこもる。

貧乏なうえに大学に行かない不良経済学部生だったころ、フィルムの一眼レフで撮った写真には青空と雲を写したものが多かった。それに比べて、人を撮った写真は、スナップも含めてほとんどない。思えば、あの当時は人への興味は薄く、そして上ばかり見ていた気がする。大学とか社会とか、そういうものとうまく折り合いをつけきれず、溺れる人が必死で上を向くような、そんな足掻きの結果が空の写真だったのだろう。

医学部5年生で買ったコンデジで撮った写真を見ると、草花や虫などの写真が格段に多い。少しずつだけれど、人の写真も撮るようになった。そして空の写真はほとんどなくなった。地に足がついたおかげで足もとを見る余裕ができ、医学を学ぶことで「生」というものへの愛着が高くなったのだと思う。
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(医学部時代に撮った写真)

そして今、俺のレンズは人へ向かい、足もとを見つめ、空を見上げるようになった。

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写真撮影とは、カメラの向こうの被写体を介して、実は自分の内面を写しているのだ。

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