2013年12月26日

今年最後の更新

これが平成25年最後の更新。次回は平成26年1月6日予定。

靴はきたい!! あれ!?

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あれれ~!?

2013年12月25日

初診時に若い女性患者を抱きしめた先輩

20歳の女性が、前日の夜間から様子がおかしくなり、トイレにこもって「助けて!」と叫びだしたり、家から逃げ出そうとしたりし始めた。当日の昼からは行動が見ていて意味不明なものばかりとなり、手を合わせてお経を唱えるような仕草をするかと思えば、唾をペッペッと吐き散らした。見るに見かねた両親が、夕方すぎに緊急で精神科病院に連れてきた。

診察室へ行くと、すでに彼女は地べたにあぐらをかいて座っていた。目は虚ろ、頭を前後左右に揺らし、時おり上半身をぐらりと前に傾かせ、両手を合わせて拝むかと思えば唾を吐き、確かに行動にまとまりを欠いていた。急性の精神病状態であることは確かで、その場にいた医師と看護師が彼女に呼びかけたり、背中をなでたりする中、ある先輩がすっと彼女の前に座りこんだ。そして、自然すぎるほど自然な仕草で彼女を抱きしめて言った。

「バレーボールが好きなのかい?」

あっ! と思った。よく見ると、確かに彼女は全日本女子のユニフォームのレプリカを着ていたのだ。先輩は彼女の背中をさすりながら、同じ質問を繰り返した。

「バレーボールが好きなのかい?」

何度か聞くうちに、一瞬だけ彼女の目が焦点を結び、ウンと頷いたように見えた。それからまた揺れ、拝み、唾を吐くことを再開したが、先輩は抱きしめたまま、ニコニコした顔で、

「そうかぁ、君もバレーボールをやるのかい?」

するとまた、何度か尋ねるうちに彼女の目に正気の光が戻って、やはりウンと頷いた。その二人の姿を見ながら、俺の背中には戦慄が走り、鳥肌が全身に浮き立った。なんて凄いんだ……、こんな精神科医になりたい……。

彼女がそれだけで治ったわけではなく、入院し、俺が主治医となり、看護師らとの関わりとの中で現実を取り戻して退院していった。俺が外来主治医となって数ヶ月後、俺は島への異動を命じられた。引継ぎにあたって、両親はこう希望した。

「あの時、娘を抱きしめてくれた先生にお願いできませんでしょうか」

父母は交互に言葉を重ねて語った。

「あの時、私たち親でさえどうして良いか分からず、ただただ立ち尽くすだけでした。娘の姿を見ることさえ怖く感じるほどで、その恐怖に圧倒されて涙も出ませんでした。そんな中、あんなひどい姿の娘を抱きしめてくださった先生の姿を見て、私たちもはっと我に返りました。そして、それから、泣いてしまいました」

病院のルールとして、患者引継ぎはランダムであったが、その先輩に事情を話して引き受けてもらった。

「あの光景は忘れられません。やっぱり先生はすごいです」

少し興奮気味にそう言う俺に、先輩は、

「バカ、俺だって最初からあんなことできたわけじゃねぇよ」

と照れくさそうに苦笑い。

「だんだんと、ですか?」

「そうさ、だんだんと、だよ」

「できるようになりますか、僕にも?」

「おぅ、がんばれよ」

あれ以来、患者を抱きしめる機会にはまだ巡り合っていないが、自分なりに努力は重ねて、診察室で涙する中年女性の手を握ったり、自暴自棄なことを言う若い男性の太ももを叩いたりくらいはできるようになった。

今なら俺、彼女を抱きしめてあげられるだろうか……。

未だ、その自信はない。

ニッコニコ

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2013年12月24日

『ハリソン内科学 第4版』 を買ったら、お医者さん気分に浸れた

ハリソン内科学 第4版
精神科医として勤務してもうすぐ5年。最近いろいろと思うところがあって買うことにした。

精神科の患者が身体疾患にかかった時、信頼できる内科・外科の先生におまかせすることが多いし、それで安心なんだけれど、他の病院も含めて中には信用できない診療をする人(敢えて「先生」はつけない、つけたくない)も皆無ではない。そういう人と同じ患者をみることになった時、「あれ? これって、なんか変な診断と治療じゃないか?」と思うことはあるが、自信を持って違うとも言えない。そこで、せめてもの悪あがきとして、ハリソンを通読はしないまでもツマミ食いすることにした。

これ、3万1千円するけれど、実際にAmazonで買うと5000円強を値引きしてくれた。精神科医なのに、手元に置いておくだけでウキウキしてくるのは、やはり俺も医者の端くれということなのだろう。

この冬、買って良かった夢暖房

遠赤外線暖房器 夢暖望 880型H
サクラに限らず、子どもの寝相は悪いと思う。夏場なら気にならないが、冬は布団から出てしまうと風邪をひいてしまうから怖い。かといってエアコンをつけっぱなしだと空気が乾燥しまくるので、これはこれで喉に悪く、風邪になりやすい。

そこであれこれ調べてみて、思い切ってこれを買った。

使用感はなかなか良く、本体は意外にすぐ暖まる。周囲が暖まるのには時間がかかるが、コタツに入って、これを背中に置いておけば、しばらく待つうちに全体が暖かくなる。これの良いところは、触っても火傷しないところ。長時間つけておいて、前面の格子を触っても大丈夫。これは子どもがいる家庭ではポイントが高い。ただし、本体と近いところに長時間いると低温火傷はしそうである。普通の火傷は反射的に逃げるので表面だけだが、低温火傷のほうは奥まで焼けるので治りが悪い。ご注意を。

メーカーHPはこちら。

Amazonレビューはこちら。

お馬に乗って

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この時、甲高い声で、
「ホーゥ!」
と叫ぶサクラは、カウボーイならぬカウガールの才能あり(笑)

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最近こんな乗り方を覚えて、見ていてちょっと怖い。

それにしても、足元の絵本の散らかり方よ……。片づけても片づけてもキリがない(笑)

2013年12月20日

カメラと写真と患者と病棟

クリスマス会は無事終了。

今回は歌はともかく、写真撮影をわりと熱心にやった。これまでは歌ったらすぐに診察室に引っこんでいたのだが、昨日の午後には一切予約を入れないようにしていたので、患者のカラオケ大会まで見ることができた。書類仕事を思い出して、ビンゴ大会が始まるところで引き上げた。

来年度は、もっと多くの病棟イベントに参加しようと思う(あくまでも2人体制になった場合ではあるが)。そういう気持ちになったのには理由がある。

先日、前病院の副院長のS先生と飲んだ際、
「先生も、白衣なしで大丈夫なんじゃないかな」
という話になり、60歳間際の副院長が若いころには白衣を着ずに、あれこれと患者の行事に参加されていたということを聞いた。
「まぁ、当時に比べて現代の精神科は忙しくて、ゆっくり病棟で過ごすという余裕は、時間的にも、精神的にも持ちにくいよね」
と仰っていたが、聞きながら考えさせられることは多かった。敬愛してやまない指導医・Y先生も20代で初回の対馬勤務時代には、患者らと海水浴に行った写真などが残っているらしい。今のY先生からはとても想像がつかないが……。

そこで手始めとして今回のクリスマス会に積極的に参加することにしたわけだが、さらに、
「これからは患者と病棟の記録として写真を残そう」
とも思った。せっかく写真技術を磨いているのだし、ポートレイトの素材として彼らは逸材でもある。撮った写真を印刷して患者一人ずつ手渡そうと考えている。これには「写真をもらって喜ぶ顔が見られる」という「写真家としての楽しみ」の他に、そこで生まれる関係性が今後の診療の一部につながるという「精神科医としての面白さ」がある。

こういうイベント参加や写真撮影が、そのまま診療に結びつくというのは、他科にはない精神科医の面白味、醍醐味(いわゆる『関与しながらの観察』というやつ)であるということに今さらながらに気づいたわけで、そういう意味では独り医長という濃密な9ヶ月間は、精神科医としての良い転機になった。

今回撮った写真はほとんどがモノクロで、それは俺なりの美意識のようなものが理由である。ただの記録として考えるならカラーのほうがよりその場の再現性が高いのだが、ただ撮って残すだけにはしたくないところに、ついついこだわりが出てしまう。

さすがにここにアップするわけにもいかず、彼らの最高に良い表情をお見せできないのが非常に残念である。

ママと遊ぼう!

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陸上部出身のママが走ってくる!!

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ママの真似してポーズ!!

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パパにも!!

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2013年12月19日

今日は病棟のクリスマス会!

この病院に赴任して4度目のクリスマス会。毎年ギターで弾き語りをしているのだが、毎回のように選曲で悩んでしまう。

10年以上も入院していて、この先も退院なんてあり得ない人たちがいる中で、あまり生々しいラブソングは歌いにくい。「死」とか「別れ」とか、そういうものを連想させる曲も、病院で歌うのは縁起が悪いので避けたい。そうやって悩むうちに、ビートルズでも歌ってみるか、という気分になるのだが、これはこれで患者が楽しめるかどうかよく分からない。患者の年齢は20代から70代と幅が広く、男女混合でもあるし、もういったいどんな曲が良いのやら……。

あれこれ考えるうちに、若いころ歌本などからコピーしたり書き写したり切り抜いたりしてまとめたものがあることを思い出した。それを引っ張り出してパラパラ見て、今回はこれに決めた。



ギターを手にして20年。始めたころは朝から晩まで練習していたが、まさかこういう形で毎年ライブをやることになろうとは夢にも思わなかった(笑)

夕焼けを指差すサクラ & 成長記録

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知らないうちに、1から10までを言えるようになっていた。ただ、恐らく「数の概念」はなく、ただ単に言葉の並びとして「いーち、にぃ、さん……」という具合に覚えているのだと思う。

それから、テレビのクリスマスツリーを見て、
「きぇー、きぇー!」(きれい)
と言っている。美というものが分かるわけではないだろうが、「キラキラするものはキレイなものだ」くらいには思っているのかもしれない。
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先日の朝、ヤクルトを飲みたがっていたので、コップに入れてあげて、
「はい、イスに座って飲むよ」
と言うと、立ったまま俺を見て、
「チ!」
とお尻に手をやる。
「あら、もしかしてウンチ!?」
と聞くと、ウンと頷く。
「じゃ、オムツかえようか!」
と言うと、トコトコ歩いて行って、プレイマットの上にゴロンと横になった。トイレトレーニングはなかなか進んでいないんだけれど、本人なりにちょっとずつ成長しているみたい。

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サクラの成長を見ていて面白いと感じるのは、犬と猫の見分けができるということ。写真だけでなく、絵、それもシルエットやかなり抽象的に描かれたものでも「イヌ」「ネコ」と見分けがつく。スヌーピーのようなマンガを見て「イヌ」と認識できる。

これはサクラが優れているというわけではなく、恐らく多くの子どもが持っている能力だ。こういうことはコンピュータには難しいらしい。犬と猫の特徴を細かくプログラミングすることで、写真での見分けができるようにはなっても、スヌーピーを犬とは認識できないなんてことがあるそうだ。

少し話が成長記録からそれるが、上記の話から言えるのは、医療、特に診断がコンピュータに取って代わられることはほぼありえない(絶対、とは言いきれない)ということ。どんなに細かくプログラムしても、人間の五感による全体像の把握力には敵わないだろう。もちろん、そこで変なミスをしてしまうのは人間もコンピュータも同じだし、怠けや手抜きによる大失敗を演じるのは人間だけなんだけれど。
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変なカッコ(笑)

2013年12月18日

吾輩は犬である

吾輩は犬である。

名前は付いているのだが、人間語の発ウォンは難しい。昔、カメの中で溺れ死んだ猫がいたらしいが、なんとも間抜けな話だ。そもそも、猫は気にくワン。人間語も分かりづらいが、猫語など全く分からん。たまに吾輩の近くに来て、なんだか訳の分からぬ事を言っているのだが、脅かしても一向に逃げようとせん。吾輩が鎖につながれているのを知っておるのだ。ええい、いまいましい。だいたい、猫のあの人間を馬鹿にした態度が気にくワン。確かに人間は馬鹿だ。それは認める。しかし、吾輩のご主人に限って言えば、それはもう立派な方だ。

ご主人を想うとき、吾輩はあの寒いダンボールの中を思い出す。あの時、吾輩は震えていた。一緒に居た兄弟姉妹たちは、一匹、また一匹と人間たちに連れて行かれ、吾輩は一匹ぼっちだった。時々、カラスがのぞきに来て、吾輩の弱り具合を確認していた。ある程度弱ったら、きっとあのくちばしで……。寒さと恐怖でどうしようもなく、吾輩はひたすらに鳴いた。鳴いて、啼いて、泣いた。そして、ご主人が現れたのだ。まさに救世主。我が敬愛するご主人……。

そのご主人が、あの馬鹿猫に笑顔で餌をあげようとしておるのに、奴ときたら自分で取りに行こうともしない。ご主人に持って来させるのだ。気にくワン。吾輩など、取りに行ってもすぐには食べられんというのに。ご主人が何を言っているのかは分からんが、目つきや声の調子や手つきで、まだ食べてはならぬ、そう言っているらしいことが分かる。仕方がないので、ご主人の顔を見て、許可されるのを待つ。なるべくヨダレは我慢しておるのだが、どうしても垂れてしまうのが恥ずかしい。なるべく早く許可されるように、一生懸命に尻尾を振る。振って振って振りすぎて、しりの筋肉がしびれ出す。うーむ、あれは苦しいもんだ。

苦しいといえば、今でこそ歳をとってしまって、あっちのほうはそれほど不満もないが、若い頃はそれはもう大変だった。家の前を若くて可愛いメス犬が通ったりすると、鎖を引きちぎってでもやりた……、いや、交尾をしたいと思ったものだ。欲求不満がたまって、夜吠えもしたことがあるが、ご主人にこっぴどく叱られたのでやめた。今となってはあれも若気の至り。

さて、ご主人には、奥様と子どもが一人ずついる。子どもはオスだ。吾輩がこの家に拾われたばかりの頃に生まれた。まあ、幼馴染と言っても良いだろう。よく散歩にも連れていってあげたものだ。吾輩がついていないと、危なっかしくて見ておれない。彼はもう十年も生きているのに、いまだにパートナーがおらず、子どももできない。欲求不満もないようで夜吠えもしない。

ああ、それにしても午後の日なたぼっこは気持ちが良い。何でお日様はこんなに気持ちが良いのだろう。もうちょっと日当たりがよければありがたいのだが。あと少しでお日様がサンサンと当たる場所に届くのだが、そうすると首が苦しい。そうこうするうちにだんだん眠くなってきた。ご主人も奥様も子どもも今日は出かけていて、なんだか寂しいものだ。いつもは奥様がなでてくれるのに。せめていい夢でも……。

ん?
何だか怪しい奴。誰だお前。何を怖がっておる。いつも見かける奴と同じ服だな。しかし、臭いが違う。お前、何をしておる。ああ、なんだ。ユービンとかいう奴か。それならそういう臭いを出せ。ややこしい。おどおどしているから、悪者かと思ったじゃないか。歳はとっても番犬の端くれぞ。この家は吾輩が守る。そう、この吾輩が守らずに誰が守ると言うのか。

なんだ、猫。またお前か。
吾輩は忙しいのだ。あっちへ行け。お前の相手をしている暇はないぞ。しっ、しっ。うー。馬鹿にしておるな。ええい、この鎖がいまいましい。これさえなければ、あいつのところまで走ってヒゲをむしり取ってやるのだが。うぬ。ふざけたことに、そんなところで寝るのか、お前は。そんな所で。そんな日当たりの良い所で眠るのか、貴様は。眠れるのか……。悔しいなぁ。この鎖がなければなぁ。えぇい、いまいましい、あいつの相手をするよりも寝たほうがましだ。無視無視。

ん。この臭いは何だ。怪しい臭いだ。
お。えっ。おぅ!? 家の裏で音がしたぞ。誰か居るな。見に行かなければ、って、この鎖が邪魔だ。ええい、くそ。裏で何か事件が、この鎖が、ご主人の家が、この首輪が、くそ、う、ぐぇっ。ぐぇほ、くっ、苦しい。しかし、事件が。この家に拾われて十年。ご主人には何のご恩返しもできぬまま、この歳まで生きてきた。今こそ、今こそ、ご恩返しの時ぞ。ええい、この首よ、ちぎれろ、ちぎれてしまえ。そして体だけで悪者を倒してみせようぞ。さあ、ちぎれろ。さあ。さ、あ、痛ててて。ああああっ、ちょちょ、ちょっと、今、ガラスが割れる音がしたよ。事件だよ。これ、絶対に事件だよ。絶対に悪者がいるよ。

おい、猫。
猫くん。
猫さま。
すまんが見てきてくれないか。いや、見てきてください。あ、無視したな。お前だって、餌もらったことあるだろ。全く、恩知らずめ。ちくしょう。おお、鎖がゆるくなった気がする。鎖の付け根が腐ってるんだな。もう一踏ん張りだ。さあ、さあ。よいしょお、よいしょお。うぉ、はずれた。猫め、ビビルな。お前のヒゲむしりなど後回しだ。顔を洗って待っていろ、ただし雨は降らすなよ。

裏庭はこっちか。あぁっ、誰だお前。この野郎。ここは吾輩のご主人の家だぞ。何をしておる。何で靴のままで家に入ろうとする。何で窓を割って、そこから入るのだ。逃げるな、噛み付いてやる。とりゃ、ぐむ、マッズーイ。何だ、お前は。クッセー。おえっ。吐き気がした。こうなりゃ吠えてやる。お、びびったな。さあ、行け。行ってしまえ。もう戻ってくるな。今度来たら、ただじゃすまさねえぞ。今度は臭くても噛み続けてやる。とっとと失せやがれ。あ、この野郎。植木鉢倒しやがって。

ふうっ。一仕事終えた後ってのは気持ちが良いな。さて、次は猫野郎だ。積年の恨み、今こそ、晴らしてくれ……、あ、居ない。お、そこか。くそ、届かん。吾輩にも塀に登る技術があれば……。ちくしょう。無念。次は逃がさんぞ。いや、いいや。猫なんかのことは忘れよう。今日は吾輩の初出陣、初勝利の日。早くご主人たちに帰ってきて欲しいものだ。楽しみ、楽しみ。褒められる。きっと褒められる。吾輩は悪者を見事に撃退したのだ。ご褒美なんかくれたりして。いやいや、いけない、いけない。ご褒美欲しさにやったことではない。これは、言わば犬としての責務。当然のことをやっただけ。大義、恩義に報いたのだ。けっして、ご褒美欲しさでは……、あ、ヨダレが出てきた。

お、帰ってきた。三人一緒だ。やっほーい。


「お母さーん。裏の窓が割れてるよー。あ、植木も倒れてる。あ、ゴン太。何やってんだ。あ、鎖引きずってる。お母さーん、犯人ゴン太だよ」
母に向かって叫ぶ子どもの周りを、老犬が嬉しそうに走りまわっていた。塀の上で、面白そうに猫が鳴いた。

さぁお出かけだ!!

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平成25年10月20日、実家にて。

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出発!!

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祖父の家から歩いて15秒。

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上りきったところから見える夕焼け。

こころの病は、誰が診る

こころの病は、誰が診る
通読できる精神科の本。対談集なので、必要に応じた部分だけザザザッと読んだ。目新しいことはあまりなく、普段感じていること、ここでグチっていることなどが活字になったという感じ。可もなく不可もなく図書館寄贈。

2013年12月17日

院内忘年会に5000円!?

院内忘年会が近いが、参加費がなんと5000円である。

別に高いとは思わないが、看護助手もこの金額だと知って唖然とした。だって、助手の月給は手取りで10万円近くだというし、だとしたら給料の20分の1だ。そんな忘年会に行こうとは、なかなか思わないだろう。今年一年お疲れさまでしたと互いに労う場であり多少の無礼講が許される院内忘年会なのに、病院の雑事を支えてくれている看護助手さんが来にくいのはおかしい。

ふと、研修医のころお世話になった放射線科医長・M先生のことを思いだす。研修医の合宿(強制)のために研修医から一万円(給料の20分の1だ)が徴収されるという話をM先生にしたところ、先生はその場で病院上層部に電話をかけて、
「金のない研修医から一万円をとるなんておかしいでしょ。それくらい僕ら上の医者が面倒みたって懐は痛まないんだし」
と交渉してくださった。

そういうわけで、精神科で勤務する5名の看護助手さんの参加費は精神科医長である俺が支払うことにした。が、それでも家庭の事情その他で来れない人たちが多く、2名分だけを俺が出すことになった。

民間病院では、職員全員が無料招待のところもあるようだし、以前の勤務先もそれに近かった(そのかわり正装)ので、いつか当院もそうなることを祈っている。

金門島流離譚

金門島流離譚
台湾を舞台にした船戸与一の小説。今回は冒険という感じではなく、偽造品を扱う日本人が主人公の表題作と、台湾大学に通う大学生を主人公にした『瑞芳霧雨情話』の2話が収録されている。両作品につながりはない。

どちらも最初は退屈になるのかなぁと思わせておいて、途中からぐいぐい喉をしめあげてくるような、背中がびりりと震えるのを感じるような、心の中を冷たい風が吹き抜けるような、そんな展開になっていく(喉・背中・心の表現は船戸ファンにしか分からないかも)。

充分に面白かったけれど、手元に置いておきたいというほどでもなく、図書館寄贈。

義祖父の仏壇にて

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義祖父の一周忌の時、サクラがあちこち歩き回ってキャッキャと騒ぐもので、後でお坊さんにお騒がせしてすいませんと謝ったら、
「お経なんかより、お孫さんの声が、いちばんの供養になりますよ」
と言われ、思わず涙ぐんでしまった。

2013年12月16日

親の気持ちは親にならないと分からない? 子どもの気持ちは……?

「親の気持ちは、自分が親にならないと分からない」
診察室で、子どもの不登校に悩む母親がそう嘆いていた。世間にも似たようなことを言う人がたくさんいる。では、子どもの気持ちはどうだろう。

「誰にだって子ども時代があるのだから、子どもの気持ちは分かる」
と言う人がいるかもしれない。不登校の子の母親も、
「この子の気持ちは分かるんです」
そう言っていた。

でも、それって本当にそうなのか?

ほとんどの親には、「あなたという親を持つ子どもの気持ち」なんて分からないんじゃないだろうか。もちろん親子だから性格は似ているだろうけれど、子どもの頃の自分と、自分の子どもは別人だ。完全に分かることなどありえない。せいぜい想像するくらいが関の山だ。そのことをしっかり頭に刻んでおかないと、大火傷をすることになりかねない。

そしてこれ、まったく逆のことも言えるわけで、あなたが親になってみて「親の気持ちが分かるようになった」と思ったなら大間違いである。あなたには、「あなたという子どもを持った親の気持ち」は絶対に分からない。あなたが親になってしみじみと分かるもの、それは「親心」だ。

料理の練習中(笑)

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何をしているのかというと……、

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料理の真似みたい(笑)

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「美味しく作るから、ちょっと待ってね!」

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2013年12月13日

連絡なしでの遅刻やすっぽかし、邪魔です、やめてください!

外来診察では、連絡なしでの遅刻、それも数十分どころではなく数時間もの遅刻や、すっぽかしをする人が多いが、これはお願いだからやめて欲しい。というのも、その時間はその人のために医師が診察室で待っているからだ。例えば俺の場合、午前11時の予約のはずなのに、昼を過ぎても現れない患者がいると、とりあえず12時半まで待ってみる。でも来ない。昼ご飯を食べようか、でも食べ始めて来られるのも嫌だな……などと考えつつ昼休みをとろうとすると、タイミング悪く来る人もいるし、午後2時や3時になる人もいるし、そのまますっぽかす人も多い。

外来だけ担当している医師なら、そういう人がいてもまだ耐えられるだろう。しかし病棟の様子も見に行かなければならず、病棟で入院患者と話している時に外来受付から、
「先生、午前予約の患者さん、いま見えられました……」
という連絡を受けると、患者との会話は中断する。再開しても集中できないし、早々に切り上げて外来診察室に向かうことになる。こういう受診の仕方をする人は、他の患者の診療にとって非常に邪魔である。

精神科にかかっている人で、自らの遅刻癖に思い当たる人がいたら、その遅刻が他の人の診療の邪魔をしているということを自覚して、連絡を入れるように心がけて欲しい。

世界のすべてに興味津々!!

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世界は知らないことだらけ!!

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リサーチ!!

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2013年12月12日

ロタウイルス感染?

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昨日の昼間、妻から「サクラが下痢をした」という連絡があった。そこまで心配していなかったし、帰宅したらサクラは元気いっぱいに遊びまわってヤンチャしていたのだが……。

晩ご飯があまり入っていかない。麺類は美味しそうに食べるが、大好きなニンジンやダイコンを「いや」と言って食べない。いつものイヤイヤにしては様子が違うなぁと思っていたが、おやつを食べたと言うし、それからまた元気に遊びだしたので気にしすぎかなと自分を安心させた。

食器を洗っていると、妻と遊んでいたサクラが変な様子になって、妻が、
「吐くのかも」
と言った瞬間に、ババーッと吐いた。二人で慌てて拭き取った。それからまた元気よく遊ぶサクラ。子どもの体調判断は難しい……。

そうこうするうちに、サクラの下半身が臭いだした。ウンチしたようで、オムツを替えようとして……、ハッ!! 真っ白な下痢だ……!! 遠い医学部時代に学んだことが教科書をめくるようによみがえってくる。ノロウイルスだったっけ……? いや、違う、ロタだ、ロタウイルスだ。オムツを鼻先に持っていって嗅ぐ。特に酸っぱいというニオイではないが、ロタの可能性は高そうだ。

サクラはその後にもう一回吐いた。着替えさせて、すぐに寝る準備。いつも通りに眠ったが、一回起きて、吐きはしないもののキツそうだった。その後、うつ伏せで寝たサクラは、日ごろの寝相の悪さはまったくなく、寝返りもうたずに寝ていた。

今朝は7時前に起きて、薄めたポカリスエットとリンゴジュースを美味しそうに飲んでいた。軽症で済んでくれますように!!

ゴサインタン―神の座

ゴサインタン―神の座
俺と同年代、地方名士の息子である39歳の独身・結木輝和(ユギ・テルカズ)が、ネパールから迎えた妻・淑子によって破滅させられ、そして淑子を求めて再生していく物語。

書き出しと中間地点、そしてそこからラストがまったくもって予想外。どんな話になるのか、どこに落ち着くのか、着地点が分からないまま、文章力にひかれて読み進めると、「そう来たかぁ」というところに辿りつく。

名作である『仮想儀礼』に比べると、いささか見劣りするようなところもあるが、これはこれで良い本だった。

蔵書決定。

2013年12月11日

何度言っても変わらない……

今年度から精神科医は俺一人になり、毎日の予約外来が30人を超えているので、昨年度までのように「新患はいつ来てもみる」という具合にはいかない。それで新患外来は月水金の午後に限定している。

すでに一般病棟に入院していて、「ちょっと元気がない」くらいで緊急性が高くない人は上記時間帯のみの受けつけとし、夜間せん妄など緊急性が高いものは曜日を問わずに受けつける。これは他科の医師にも何度となく周知している。ルールというより、限界状況にある精神科からのお願い、嘆願である。

それなのに、こうした状況を分かっていながら無頓着に患者を紹介してくる医師がいる。そういうことをするのは若手医師だけなのだが、共感性の欠如というか、思いやりのなさというか、状況を見る目の欠落というか、そんなものを感じてしまう。彼らにいくら言っても無駄のようなので、各病棟師長に通達を出して徹底してもらうことにした。

あひる口?

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無名

無名
23歳の俺が『深夜特急』で大いに影響を受けた沢木耕太郎が、父の死の間際から死の直後にわたって感じたことを綴ったもの。可もなく、不可もなく、でもいろいろと考えてしまう本だった。

図書館寄贈。