2014年4月21日

うつ病を血液検査で判定!? ~統計のウソを見抜け!~

血液検査でうつ病が分かるというニュースがあったが、記事の冒頭においちょっと待てよと言いたくなる部分があったので突っ込んでおく。
休日は週に1日。仕事が忙しく、日々の食事も満足に取れていなかった。発症までの経緯と症状から判断すると明らかにうつ病。だが診断はうつ病ではなく、男性の能率低下の理由は、不規則な生活による脱水症状だった。最終的には男性は食事や水分摂取などの生活指導だけで、通常通りの業務が可能になった。(中略)「男性会社員は、通常の精神科医ならば間違いなくうつ病と診断して薬を投薬するケース」と川村氏は話す。
社員の「うつ」、血液で見抜く 早期発見へ
川村総合診療所の院長がどこの大学の何科でトレーニングを積んだ人か分からないが、上記太下線部分は言い過ぎである。もしかすると、川村院長は周りにそんな「普通の精神科医」がたくさんいる環境で育った精神科医なのだろうか。俺なら最初に採血をして体の異常をチェックし、いきなり薬は出さず、まず規則的な生活を心がけさせる。

……?

あれ? 俺が普通の精神科医ではないということなのか?

それはともかくとして、この検査の感度は80%以上、特異度は95%以上である。素人目には凄い検査に見えるかもしれないが、実はスクリーニングとしてはまったく使いものにならないレベルである。恐らく記者は統計的なことは何もわからないまま、「へぇ凄いな」くらいにしか思っていないだろう。実際に数字を当てはめてみればすぐ分かる。

ある時点で、うつ病が100人に1人いるとする。10000人中に100人の患者だ。
感度が80%とは、100人のうつ病患者が検査を受ければ80人(80%)が陽性になるということ。残り20人は陰性である。また特異度95%とは、うつ病でない9900人が検査を受けて、9405人(95%)が陰性になり、495人は陽性という結果が出るということだ。

以上の結果をまとめると、10000人がスクリーニングとして検査を受けた場合、陽性と出るのは575人(80+495)で、そのうち本当にうつ病なのは80人だから、「陽性と出て本当にうつ病」なのは14%弱しかいないことになる。逆に「うつ病なのに陰性と出る人」はどうだろうか。9425人(20+9405)のうち20人であるから、0.2%、つまり1000人受けて2人は見逃されることになる。その2人は本当にうつ病で苦しんでいるのに、統計の分かっていない人から「感度80%、特異度95%の凄い検査で陰性と出たんだから、気の持ちようでしょう」などと言って帰される恐れがある。

スクリーニング検査としては、あまりパッとしないものなのである。

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