2014年10月8日

スペインでエボラ感染者が発生

スペインで、エボラ出血熱(以下、エボラ出血熱、エボラウイルスともにエボラと表記)患者の看護にあたっていた看護師(平成26年10月9日訂正 看護師ではなく看護助手だったようだ)がエボラウイルスに感染した。

先日書いたアメリカのケースは「感染したのはアフリカで、発症したのが米国」である。初の「アフリカ以外での発症」と報道されているが、ハリソン内科学には「スイスで発症して気づかれずにいた感染患者」という記載がある。また、Wikipediaではイギリスでの発症の話も書いてあった。このあたりの事実関係は、どれが正しいのかよく分からない。

今回の看護助手は、初の「アフリカ外での感染、アフリカ外での発症」である。この細かい違いは些細に感じられるかもしれないが、エボラのように人から人へ感染する病気では、感染可能性のある人を予測する上で非常に重要な要素である。

いずれにしろ、これまでのエボラの小規模流行において、エボラ治療はほぼすべてアフリカ各国内で行なわれていた。そのため「致死率50-90%」について、ハリソン内科学では、
この高い致死率には、アフリカの医療施設の劣悪な環境の影響もあると考えられる。
と記述されている。だとすれば、今後もし先進国で小規模流行したとしても、適切な集中治療を施された場合の致死率は、これまでのデータほど悪くはないかもしれない。

ただし、問題はエボラの感染力である。同じくハリソン内科学では、エボラの人から人への感染流行について、
途上国では一般的であった滅菌されていない注射針と注射筒の使用が明らかとなった。
とある。しかし、今回のスペインのケースを見れば分かるように、先進国内で感染防御の知識・技術・器材があっても感染することがあるくらい、エボラの感染力は強いのだ(このニュースでは実は一番そこが重要)。ロイターが写真付きで報じているが、これほどの厳重警戒が必要だと分かっていても感染するのだ。平成26年10月3日時点でのエボラ患者数は7493人(※)だが、同数のHIV、B型肝炎、C型肝炎の患者を治療したとしても、短期間でこれほどの感染事故は起こりえないだろう。

先進国で適切な集中治療を受けた場合の致死率が1%だとしても、万が一に東京で1000人が感染した場合、その1000人を隔離し、集中治療するためのベッドが足りるのかどうか……。通常の集中治療であれば余裕だろうが、テレビ映像で見られるほどに感染防御を徹底しながら治療できる施設となるとかなり限られるだろう。高度な感染防御が可能な治療施設からあぶれた患者は、普通の病院の集中治療で生き延びるにしても、そこで感染を拡大させる要因になるだろう。そう考えると、先進国での致死率が低くても安心はできない。

インドでも日本人女性が発症したという情報がある(平成26年10月10日訂正 この女性は陰性であった)。散発的にアフリカ以外での発症者が出ている現在、エボラに関する情報には敏感になっておいたほうが良いだろう。

なおアフリカでマールブルクウイルス感染者も確認されたようだ。これはエボラと並んで凶悪なウイルスであり、こちらも要警戒である。

※WHO発表。一方アメリカのCDC(疾病対策センター)はWHOの統計が実数の40%程度だろうと考え、実際の患者は2万人以上いると予想している。

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最近、ハリソン内科学(3万円!!)、大活躍である。
【10月7日 AFP】スペインの首都マドリード(Madrid)の病院で、エボラ出血熱に感染し後に死亡した患者2人の治療に当たっていた女性看護師1人がエボラウイルスに感染したと、スペイン政府が6日発表した。アフリカ大陸以外での感染が確認されたのはこれが初めて。
西アフリカでは、エボラウイルスにより今年に入って約3500人が死亡している。スペインのアナ・マト(Ana Mato)保健相はテレビ放送された記者会見で、この看護師の同ウイルスへの感染が2度の検査で確認されたことを受け、緊急治療計画を策定したと発表。「全国民の安全確保のため尽力している」と述べた。
この看護師は、アフリカでエボラ出血熱にかかって8月と9月に相次いでスペインに帰国しカルロス3世病院(Carlos III Hospital)で治療を受けていたものの、間もなく死亡した高齢の宣教師2人の治療チームに所属していた。
女性看護師は先月30日に体調不良を感じ始めていたものの、発熱を訴えて受診したのは今月5日になってからだという。
既婚で子どもはいないという准看護師のこの女性は現在、マドリード南郊のアルコルコン(Alcorcon)の病院に隔離され、治療を受けている。
記者会見したマドリードの一次医療ディレクター、アントニオ・アレマニー(Antonio Alemany)氏は記者会見で、この看護師がエボラウイルスに感染した以降接触があった可能性のある全員の特定を保健当局が急いでいることを明らかにした。(c)AFP/Anna CUENCA
http://www.afpbb.com/articles/-/3028239

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