2014年12月4日

「アクション」と「イメージ」 神田橋先生の『精神科講義』より

診察室での会話においては、「アクション」(行動)には「イメージ」「言葉」「感じる」といった内省的なものを、逆に「イメージ」「言葉」「感じる」といったものには「アクション」を添えてやると良い。

例えばリストカットは典型的な「アクション」である。これに対して神田橋先生は、
多少カミソリに似たようなプラスチックの定規みたいなものを持って、患者さんに手首を切ったときの動作をどういう姿勢でしたのか、そのとき、どういう気持ちが流れていって、どういうふうになったのかを思い出させるんです。思い出させたら、それ以上なにも解釈する必要はないの。ただ「ああ、そういうことだったんだね」と言っとけば、だいたいリストカットはしなくなります。
実際に自分がやってみたとして、こんなに上手く行く気はしないが、そこは達人と凡人の差であろう。ただ、この考え方はすごく参考になるし、そして、根底にある優しさを感じた。神田橋先生はこうも言う。
家庭内暴力の患者さんに、「家庭内暴力をしてはいけません」とか言わんでね。そうではなくて、「あなたが棒で叩く気持ちと、その叩いた棒が当たった瞬間の気持をぜひ知りたいんだけど。あなたは研究してないだろうから、この次、棒を振りまわしたときに、叩くときの気持ちと当たったときの気持をよく観察しといて、治療の時に報告してね。そうすれば一緒に考えられるから」と言っておくといいです。
これもまた達人の技ではあるが、やはり内側にある優しさが感じられる。そして先生は上記二つについて、こうまとめる。
「アクション」というものは、傍らに「内省」が置かれると、興奮が一定以上にかきたてられず、むしろ基本的な「雰囲気」というものに目覚める。
ではこの逆、イメージにアクションを添えるにはどうやるか。
たとえば「あいつをぶん殴ってやりたかったんだ」と患者さんが言うとします。どのぐらいの強さでぶん殴ってやりたいかが分かるとずいぶんいいので、昔よくやってたのは、枕を持ってきて「殴ってやりたいっていう気持ちぐらい枕を殴ってみて」と言って、「ああ、そのぐらいなの」と言うようにするんです。
「落ち込んじゃう」と患者が言ったら、「落ち込んじゃう、という格好をして」というふうに言うと、アクションを通して本人のなかに無意識が明確化されるのです。アクションと言葉の相互作用が重要です。
この本の紹介はしばらく続く。

精神科講義

2 件のコメント:

  1. Ciao いちはさん
    うーーん、わかります
    すごーくいい先生だって!

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    1. >junkoさん
      恐らく、日本を代表する大御所の精神科医の一人だろうと思います。学ぶ側の好き嫌い、合う合わないはあると思いますが(笑)

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