2015年1月27日

心にナイフをしのばせて


1969年、高校一年生の男子が同級生に殺され、さらに首を切り落とされるという事件があった。その事件から28年たった1997年、いわゆる酒鬼薔薇事件が起きる。本書はその酒鬼薔薇事件をきっかけにして、28年前の事件の遺族、特に被害者の妹を中心に取材したものをまとめたものである。主に妹の一人称で描かれる事件後の生活は、生々しい苦悩に満ちたもので、読む者の胸が苦しくなるほどであった。

その一方、加害者Aはどうしていたのか。30年近く、謝罪の手紙も電話もよこさなかったAの経歴を筆者が追っていくと、少年院を出た後に有名私立大学を2つ卒業し、なんと弁護士になっていた。Aの現在を知らされた被害者の母とAとが、事件後初めて電話で会話する場面があるのだが、なんとも胸くその悪い展開で思わず手足が冷えてしまった。

読後感は決して良くない。しかし、一読の価値はある。

少年法に違和感をおぼえる人と、少年法を守るべきだと考える人、両方にお勧めできる。

2 件のコメント:

  1. ししとう432015年3月8日 0:31

    遅くなりました。
    図書館で借りて、やっとこさ読みました。
    更生って何だろうって、考えました。
    読後感は、先生が言われるように最悪です。
    法的には、あるいは行政的や社会的には、成功例かもしれません。
    しかし、人として、更生できてない気がします。
    特に巻末の章の「印鑑証明と実印を用意しておいて」には、唖然としました。
    宗教家なら、このケースをどうとらえるか、知りたいところです。

    返信削除
    返信
    1. >ししとう43さん
      これほんと、更生ってなんだろうという感じですね。
      社会的に成功はしたのかもしれませんが、「まともな人間になった」とは思えません。更生って、成功することじゃないですよね、きっと。
      そうじゃない、そうじゃないだろお前、と思いながら、ラストを迎えてしまう。なんとも後味の悪い、しかしこれが現実なのだろうなぁと思いました。

      削除