2015年4月27日

製薬会社からもらうボールペンに、実は多くの医師が影響を受けている 『怖くて飲めない! 薬を売るために病気はつくられる』

製薬会社の人からボールペンや卓上カレンダー、時には卓上時計、USBなどの販促品をもらうことがある。それらにはすべて、それぞれの会社が販売・宣伝している薬の名前が書いてある。

こんなものをもらったところで、自分の処方には影響がない。

多くの医師がそう思っている。そして、

こんなものをもらったら、自分以外の医師はけっこう影響を受けるだろう。

これも多くの医師がそう思っている。

上記はアメリカで医師を対象とした研究調査で分かったことだが、日本では実際のところどうなのだろう。

実を言えば、俺は確かに影響を受けている。ただし、自分の専門外に関してである。抗うつ薬や抗精神病薬、睡眠薬などをいくら宣伝されたところで、自分なりの判断には影響を与えない。ところが、精神科でも高血圧や高脂血症の薬や胃薬などを処方することがあり、こういう時、「どんな薬があるんだったっけ?」と考えて思いだしやすいのが、ボールペンや卓上カレンダーに書かれている薬の名前である。

製薬会社のMRさんは、たいていの場合、売り込みたい薬をよく使う専門科の医師をメインターゲットにして宣伝するが、実のところそれはあまり処方に影響を与えていないのではかなろうか。それよりは、処方機会が少しだけある科の医師に宣伝するほうが「現場で思いだしてもらえる」効果は高いはずだ。たとえば抗うつ薬を処方する精神科以外の先生はけっこういるが、俺の周りではパキシルの一人勝ち状態である。こういう先生たちにこそ、例えばレクサプロを売り込んでみるほうが有効だと思う。

自分の専門分野で、販促品や接待に影響されている医師がまったくいないわけでもないだろう。そういう医師は三流だとまでは言わないにしても、まともでないことは確かだ。ちなみに俺は卓上カレンダーを置かないし、ボールペンは自分で買ったものしか使わないし、診察室に関しては専門外どころか精神科薬の名前の入った販促品すら置いていない。そんな俺でも、研修医の時にもらって愛用していたボールペンに書かれていた「リピトール」(高脂血症の薬)は今でも忘れられない。製薬会社による販促品の影響とはそういうものだ。


薬をすべて否定するのはトンデモ論だと思うが、反対にすべての薬を礼讃するのもトンデモな話である。この本はそのあたりのバランスが非常にうまくとれた良書だった。薬嫌いも薬好きも、読んでおいて損はない一冊。

4 件のコメント:

  1. 子供を小児科や耳鼻科に連れて行くと、その手の製薬会社の販促品のシールをいただくことが多いのですが、時々「セフ美」と「ゾン太」という可愛い狐のキャラクターのシールがありまして、変な名前だなと思って調べたら、「セフゾン」という商品名の薬のキャラクターだそうですw
    おかげで、うちの子供には一度も処方されたことのないセフゾンという抗生物質の名前を無駄に覚えてしまったので、やっぱり販促品には刷り込み作用があるというのは納得ですw

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    1. >匿名2015年4月27日 8:07
      「セフ美」「ゾン太」は草不可避www

      精神科だと、パキ雄とシル子……、ちょっと合わないですかw

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  2. 大変興味深いお話です。私は以前製薬会社で販促品を作っていましたし、PR会社でパキシル関連(うつ病ならお医者さんへ行きましょう!キャンペーン)したことがありますが、販促品の作成に懐疑的でしたし、PRにによるドクターへの影響がどの程度なのか疑問にも思っていましたので。ただ別の科のドクターが、専門外の処方のときに良く名前の知られた薬を使う傾向にあるのは実際に見て知っていました。

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    1. >匿名2015年4月27日 10:10さん
      >別の科のドクターが、専門外の処方のときに良く名前の知られた薬を使う傾向にあるのは実際に見て知っていました。

      やっぱりそうですよね。専門外の場合、その場で薬の本を調べて見つけた聞いたことのない薬を処方するというのは勇気がいるので、どうしても聞いたことのある薬に偏りがちになります。
      ちなみに俺は専門科の販促活動、ちょっと苦手なんです。

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