2015年4月13日

診察室では正直に言っちゃってください!

「妻が変なことを言うから入院させて欲しい」

ある女性患者の夫がそう言って診察室にやってきた。患者は「入院なんてとんでもない」といった態度で、「夫のほうが変なんです」と訴える。

「変なことを言うから」という理由で強制入院させるわけにもいかない。そこで夫に具体的な内容を尋ねるのだが……。

俺「たとえばどんなことを仰るんです?」
夫「ありもしないことです」
俺「具体的には?」
夫「ひどいもんです」
俺「その内容を知りたいんですが……」
夫「あぁ、内容ですか。そりゃもう、ありもしない、ひどいことを言うんです」
俺「えーっと……」

こういう感じで一向に具体的な話が見えてこない。そんなやり取りをするうちに、黙って聞いていた妻のほうが痺れをきらして、

「あんたが人を殺してまわるから悪いんだ! あんたが目からバイ菌をビームみたいに出すから、怖くて家を追い出したんじゃないか!」

と怒り出した。この言葉を聞いた瞬間、入院治療という方針を決めた。

身内が変な言動をとるという理由で、初めて精神科の診察室にやってきた家族の中には、その言動の具体的内容を語ることに気が引けている人も多い。「こんなにバカげたことをしたり言ったりする人がいるなんて、きっと医者には信じてもらえないだろう」という考えなのか、それとも「あまりに荒唐無稽すぎて他人に話すのが恥ずかしい」という気持ちなのか、はたまたすでに疲れきって面倒になっているのか。

患者家族の「いつもと違う」「様子がおかしい」「なにか変だ」という感覚はとても大切だが、やはり診断や治療方針の決定には「具体的内容」が必要である。

だからどうか、患者を診察室につれてくる家族の皆さんは、臆することなく面倒がらずに、患者の行動や会話の中身を具体的に、つまり、ありのままお伝えください。

2 件のコメント:

  1. ひらけゴマ2015年4月16日 8:19

    おはようございます。
    診察室で、医師も正直に言っちゃって良いのでしょうか?
    ことによるでしょうけど・・・

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    1. >ひらけゴマさん
      そうですねぇ、俺はなるべく嘘はつかないようにしています。変な嘘は、その後にも嘘を重ねないといけなくなって面倒ですし。

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