2015年5月22日

生活保護の人にギャンブルするな、宝くじ買うなとは言わないが…… 『ギャンブル依存とたたかう』

ほぼすべての自治体で、生活保護の受給者はパチンコをしないよう指導されるが、決して禁止ということではない。基本的には指導止まりだ。これは変だと思うが、「金をどう使おうが自由だ!」「生保の受給者は娯楽すらも禁じられるのか!」と反論する人もいる。いやいや、ちょっと待て。

浪費するだけなら娯楽として認められるかもしれないが、ギャンブルは勝つこともある。勝ったぶんを自治体に返納するというのなら「自由だ」というのも一理ある。しかし、「もらった金は自分のものだからギャンブルにつぎこむのも自由、そしてギャンブルで勝った金も自分のもの」というのでは筋が通らないではないか。極端な話、たとえば生保の受給者が宝くじで1億円当たったら、これまで支給された保護費を全額返納しなければ当選金を受け取れないような制度にしてしまっても良いくらいだ。

なにもギャンブルをするな、宝くじを買うなと言っているのではない。ささやかな夢を買う権利は誰にでもある。ただ、自治体からもらった金を使ってギャンブルに勝ったり宝くじに当たったりしたのなら、せめてこれまでもらった分くらいは自治体に返しなさい、という人として当たり前の感覚の話をしているつもりだ。

俺の患者にも、生活保護をもらいながらパチンコに狂っている人がいる。受給日に一ヶ月に必要な最低限の食料品を買い揃え、あとはその日のうちにパチンコで使い切ってしまう。これはもう病的賭博、ギャンブル依存症である。もともとはアルコール依存症だったが、パチンコにはまってからは酒をほとんど飲まなくなった。酒を飲む金があるならパチンコに、という生き方になってしまったのだ。家族にはとうの昔に見放され、恋人もなく、友人もほとんどおらず、今の生活に本人が悩み苦しんでいるということもない。アルコール依存症に比べれば肝臓には優しいし、それなりに食事もするから体には良いのかもしれない……、そんなことを考えながら、毎回の診察ではいまひとつ釈然としない思いを抱く(もともと躁うつ病もあるが、こちらの症状はもうずいぶん長く落ち着いている)。


本書は小説家で、精神科医でもある帚木蓬生が書いたギャンブル依存に関する本。読んで思うが、日本は身近にギャンブル多すぎる。どうにかならないものかねぇ。

2 件のコメント:

  1. 帚木蓬生先生の他の著書によると、ギャンブル依存症の90パーセント以上が(あやふやな記憶では93パーセント)が、パチンコ・パチスロからみとか。
    自分でプレイするのは、やはり依存性が高いようで、わが家の近くには、かつて競輪場がありましたが、サラ金は1軒もありませんでした。
    そんな、駅ごとにパチ屋がある国で、カジノなんて、もってのほか。

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    1. >ししとう43さん
      パチンコ・スロットは、依存傾向が少しでもある人を焚きつけて金を引き出すことに特化しているみたいですね。かなり研究されているようなことを何かで読みました。
      俺は20代で3回くらい行きましたが、楽しさが分からず以後さっぱりです。

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