2015年12月18日

精神科の診断と老いについて

精神科の診断について、色のスペクトラムを用いて自分の考えを説明したことがある。

精神科の診断

これは今でも概ね間違っていないと思っているが、先日、改めてスペクトラムの画像を検索しながら非常に興味深いものを見つけた。
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統合失調症、躁うつ病、強迫性障害、人格障害、発達障害など、精神科にはさまざまな病気がある。それはこの画像で言えば、円の外側のスペクトラムで表される。そして、健常人であれ精神障害者であれ、人間は歳を重ねるごとに円の中心部へと向かっていく。そうするとどうなるか。

画像を見て分かるように、中心部に行けば行くほど混沌となる。色の境目がなくなり、元が何色だったか分からなくなる。極端な例は「認知症が進んだ人」で、その人が昔は統合失調症だったのか、それとも躁うつ病だったのか、発達障害だったのか、もはやそういうことは治療するうえで大きな意味は持たなくなる。安らかな老後のために医療は何を提供できるか、ということが主眼になる。

大御所の精神科医の本には、統合失調症は歳をとると病勢が弱まる、といったことが書いてある。症状そのものが軽くなるということも確かにあるだろうが、この図で示されるように、健常人も他の病気の人も年老いてみんな中心部に集まるので、それぞれに特徴的な症状が「目立たなくなる」ということかもしれない。

精神疾患は、社会や人とのつながりが強くて濃い人ほど症状が目立つ。子どもが巣立ち、友人知人との交流が減っていき、配偶者に先立たれ……、そうするうちに症状が目立たなくなっていくのではなかろうか。逆に、それまで健常人として生きてきた人も、この段階に至れば時に古くからの精神科患者のように見えることもある。

人は歳を重ねて赤ん坊に戻っていくと言われる。できていたことができなくなり、分かっていたことが分からなくなる。個々の赤ん坊にほとんど差がないのと同じように、老人になるということは、それまでにできたいろいろな差、知能的、体力的、社会的な違いが埋まっていく過程なのかもしれない。そしてそれは、厄介ながらも愛おしい「心」というものを持ったヒトにとって、きっと幸せなことなのだろう。

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