2016年1月26日

精神科医だって、発達障害の人との個人的な関わりで悩むのです 『発達障害でつまずく人、うまくいく人』


患者にも、身内にも、仕事仲間にも発達障害の人がいる。相手が患者の場合、こちらは精神科医として知識を提供したり、生活障害を改善するための提案をしたりするが、そこには医師・患者という関係があるので互いに分かりやすい。ところが、身内や仕事仲間の場合にはそうもいかない。

身内の場合、発達障害とはどういうものかという知識がほとんどない。そこで、精神科医でもある俺がなるべく客観的に説明しようとしても、一歩間違えば本人や親族から「身内に対して冷淡」と受け取られかねない。かといって、熱を込めれば良いというものでもない。このあたりのバランスは、診察室や病棟とは違い、俺にとって非常に難しい。

仕事仲間の場合、相手には発達障害の知識が多少ある。あるいは充分にある。自ら発達障害だと自覚している場合もあるし、無自覚の場合もある。そういう人たちとどう協働していけば良いのか、これが実はけっこう切実な難題である。たとえ発達障害があっても、やるべき仕事はやってもらわないと困る。患者と直接に関わる専門職では、コミュニケーションと想像力と臨機応変さという、発達障害の人が苦手とするものが、常時にわたって必要とされる。「君にはこういう作業が向いているよ」と割り振れる仕事はほとんどない。

今回本書を読んだのは、診察室で出会う患者に備えてではなく、身近に発達障害がいる者として何らかの助けを求める気持ちからである。これ一冊で大いに役に立った、ということはないのだが、この本を実家に送って読んでもらって、身内問題に少しは改善が見られることを期待したい。職場のほうでは……、まだもう少し模索が必要だろう。

2 件のコメント:

  1. ​始めまして。うつ病になってしまい、病気の知識を増やすために、こちらのブログを見させてもらっています。
    長文になってしまい申し訳ないのですが、発達障害の特徴についてご教示頂けませんか?医師の診断に疑問を抱いております。
    先月から就職に伴い引っ越しし、主治医が代わりました。うつ病で去年から通院していたのですが、主治医が変わってから、発達障害という診断を一方的に告げられました。
    確かに私は人間関係が苦手で、込み入った事は信頼出来る人としか話せず、彼氏が出来ても「本当には信頼されてない、好かれていない」という理由で別れることが多いです。こういう人間関係の下手さも発達障害の症状なのですか?
    今の主治医は正直キライなタイプで、鬱病までの経緯や子供時代のことを話したくありません。ですが、一方的に発達障害と告げられ、エピソードを話すように促されます。主治医を信頼していいのか悩んでおります。第三者として意見を頂けたら、幸いです

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    1. >匿名2016年1月26日 22:39さん
      発達障害の特徴に関しては、ここで一言では書けないし、自分も特別に詳しいというわけでもないので、ここで紹介した本か、以下の本が分かりやすかったです。

      『大人の発達障害ってそういうことだったのか』http://psichiatra.blogspot.jp/2013/10/blog-post_7800.html

      『自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体
      』http://psichiatra.blogspot.jp/2014/03/blog-post_11.html

      『自閉っ子、こういう風にできてます』http://amzn.to/1PBLtAP

      『発達障害の子どもたち』http://amzn.to/1PBLnJD


      医師の中にも発達障害の人がいて、実際に俺の同僚が発達障害ですが、そういう人たちは患者の放つ空気、場の状況を読むのが苦手なので、相手からしたら「一方的に告げられた」という印象を抱くことが多いです。もしかしたら、あなたの主治医も……、とこれは想像に過ぎません。

      俺の患者でも「自分は発達障害ではないか」と言う人がいます。そういう人には、診断をつけること、告げることがプラスになると判断すれば告げますし、そのことにあまり意味がないと思えば伝えません。

      あまり参考にはならないかもしれませんが……。

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