2016年2月1日

病気の家族に嘘をつきとおす自信のない人が、医師に嘘をつくよう頼んではいけない

もの盗られ妄想がひどくて入院になった高齢女性。
採血すると、あるウイルスに感染していることが判明。今のところ体に悪さはしていない。そのことを息子に伝えると、

「先生、おふくろはもの凄く気にするタイプだから、ぜっっっっったいに本人には教えないでください」

「分かりました、ぜっっっっったいに、ですね」

その後、女性と話をしていると、なぜだか分からないが、
「以前に手術した時に、なんという名前だったかウイルスにかかっていると言われた」
とか、
「先生、隠さずに本当のことを言ってくだされ」
とか、そんなことをやたらしつこく口にする。最初は誤魔化していたのだが、とうとう女性もしびれをきらしたのか、

「息子に聞いたんです。先生が息子には教えたそうじゃないですか」

そして彼女は息子の口調を真似て、

「“Hなんとかのウイルスにかかってるらしいけど、心配は……、あっ、しまった! 先生に口止めされているんだった!!” と言っておりましたよ」

息子のオッチョコチョイぶりには苦笑するしかなく、しかし治療関係のためにも誤解はハッキリ訂正しておかなければいけない。

「確かにウイルスにはかかっています。でも、まったく悪さはしていません。そして僕は息子さんに口止めなんてしていません。それは逆で、息子さんから“おふくろは気にするタイプだから”といって口止めされていたんです」

これを数回繰り返し説明し、やっとのことで納得してもらえた。

医師に何かを隠すよう頼む時には、家族のほうもそれ相当の覚悟を持って欲しいものである。

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