2016年3月15日

同僚のカルテを興味本位で覗く、そんな困った人たち

病院スタッフが精神科を受診したり入院したりした時に、その人のカルテをどうするべきかという問題が出てきた。電子カルテ化によって、紙カルテ時代よりも興味本位での閲覧が容易になった。医療者として、そして知人・友人・同僚としてのモラルの問題であり、そういう部分でルーズな職員を抱えていると、いつか病院全体の大問題に発展しかねない。モラルだけでなくリスク管理という点からも、疎かにしてはいけないことである。

この件について、同僚先生は電子カルテを設定変更して閲覧制限をかけるようにすべきという案を出した。実際、同僚先生に外来でかかっている病院職員の場合、特殊な操作でそういう記録方法をとっている。それに対して、俺は他患者と同じように記載している。この最大の理由は、
「その人が身体的な救急で受診した時に、精神科のカルテもきちんと把握してもらう必要があるから」
一刻を争うような時に、
「精神科を通さないとカルテが見られません!」
という事態は避けたい。だから設定変更による閲覧制限ではなく、患者カルテの閲覧ログを照会し、そこで見つけた不届き者を個別に叩きつぶしていく方法が良いだろうと考えた。

さて、実際に閲覧ログを出してみると数名が網に引っかかった。当日のうちに彼らが所属する部署長を呼び出して事情を説明し、該当者へ指導してもらうように依頼した。指導されたことが噂として広まれば、各人の自主規制意識も高まるだろう。

ところが、問題は一筋縄ではいかなかった。

電子カルテには、練習や運用チェックのための「ダミーID」がある。そのIDでログインすれば「電子太郎」という匿名での操作になる。当院では、電子カルテが導入された時にみんながそのIDで練習した。そして、ログ照会でも足がつかないように、そのIDを使って閲覧している狡猾な奴がいるということが判明したのだ。その容疑者Xにとっては残念なことに、どのパソコンから使ったかも分かるようになっていて、すぐに使用場所が特定された。しかもその場所は、かなり特殊な人たちしか出入りしないところなので、容疑対象者はほんの数名に絞られた。そこから先の特定まではできないが、部署長への指導は入るので、さすがにもうそんなことはしなくなるだろう。

現在のところ、情報管理室ではログ照会の権限を医師のみに限定している。俺としては、照会権限を全職員に与えるという案も持っている。こうすることで、不届き者たちに「勝手に見ると、本人にバレる」という危機感を持たせるのだ。ただし、これはこれで、院内の人間関係がギスギスしそうで不安でもあるが……。

精神科に限らず、例えば皮膚科や婦人科などで写真を撮ることはあるだろうし、それを同僚が興味本位で見ているかもしれないというのは気持ちの悪い話である。今後もビシビシ摘発していく必要があるだろう。

2 件のコメント:

  1. 他科の自分の先生が、自分のカルテを見てくれるなら歓迎ですが、知らない先生に見られるのは嫌です。

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    1. >norick7885さん
      患者自身に対する個人的興味で見るのは俺もイヤです。
      実際のところ、患者自身に対する個人的興味ではなく、実症例の検査、治療法を勉強する目的で他患者のカルテを見ることはあります。教科書だけでは全く得られない生きた知識になるので、それが今後の別の患者の診断や治療に活かされます。

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