2016年3月16日

境界性人格障害って、やっぱり難しい人たちだ…… 『境界例』


これまで自分自身で患者に対し「境界性人格障害」と診断をつけたことがなかった。というのも、指導医の教えがあったからである。

「ボーダー(境界性人格障害)という診断はなるべくつけない方が良いよ」
「それはどうしてですか? 医師や看護師から偏見に満ちた扱いを受けるようになるからですか?」
「うん、確かにそれもある。ただそれ以上に、診断をつけた自分自身がキツくなってしまうんだよ。ボーダーとつけると、どうしても陰性感情(ネガティブな感情)が芽生えちゃうでしょう。そういう感情を持つと、自分自身がキツくなるよ」

境界性人格障害という言葉が広く定着した現代において、この診断名そのものに、医療者のネガティブ感情を呼び覚ますような響きがあるのは確かだ。というより、境界性人格障害と診断するにあたって、自らの中に芽生える「他の患者にはあまり感じないタイプの陰性感情」を根拠にする医師もいる。

先日、ある若い女性に境界性人格障害という診断をつけた。もちろん診断基準は充分に満たしていたのだが、診断に踏み切った理由の一つは、彼女の言動の端々から自分の中に「これまで感じたことのない不快な気分」を呼び起こされたことである。とはいえ、自分の性格もあるのか、患者自身に対して強い陰性感情を抱くことはないのだが。

少しでも彼女をサポートするのに役に立てばという思いで本書を読むことにしたのだが、これ一冊を読んだからといって治療やサポートがいきなり良くなるということはなさそうだ。

ところで、本書は1998年初版なのだが、それから20年近くが経った今、本書で事例紹介されているような強烈なボーダーという人は今も存在するのだろうか? 少なくとも診察室では出会ったことがないし、風の噂でも行動化が非常に激しい人は聞いたことがない。東京や大阪など大都市でならあり得るのだろうか? それとも、たまたま自分が出会わずにいるだけだろうか?

本書で面白かったのが、成田善弘先生(精神科の世界ではわりと有名)の体験談。
たまにですが、本当にわれを忘れて怒っちゃうことがあるでしょう。こちらがなんべん止めても、むこうが相変わらずナイフでリストカットをする。とうとう患者のほっぺたを一発張っちゃったというようなことがあるんです。
マジかい……(笑) そこまではやれんなぁ。


ちなみに本書の中身は河合・成田だけでなく、いろいろな先生の小論で構成されている。

2 件のコメント:

  1. 最近の本だったら…というか、雑誌になりますけど、この辺が参考になるかも知れません。
    http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4535140855/codexs-22/ref=nosim/
    http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4826506082/codexs-22/ref=nosim/

    上の本については、こういう解説のまとめがあります。
    http://togetter.com/li/925595

    返信削除
    返信
    1. >匿名2016年3月16日 10:17さん
      ありがとうございます。
      参考にしてみます!

      削除