2016年3月18日

嫉妬妄想に対する精神療法

夫から嫉妬妄想を抱かれている初老の女性が単独で初診。夫を連れてくることはできないので、自分の悩みを聴いて欲しいということだった。

「みのもんた外来」とでも名付けたくなるような、語らせて、頷いて、尋ねて、頷いて、聴いて、頷いて、最後にこちらが語りかける、そんな診察だった。

こういった夫の嫉妬妄想で困っている女性に対しては、
「人間は歳をとると、一番大切なものに妄想を抱くんですよ。だから、男性は奥さんが浮気しているという“嫉妬妄想”になっちゃう。ちなみに、女性は財布とか通帳とかを盗まれるなんていう“もの盗られ妄想”が多いみたいですね」(※)
と、少し茶目っ気をこめた声で話す。するとハッとしたような顔をして、「実は……」と二人の古き良き時代、とても愛されていた時の思い出などを話される。

こうした嫉妬妄想の治療は薬物療法がメインだが、あえて精神療法のようなものを取り入れるなら、

1.妄想にウンザリしている妻に、「あなたが好かれているからこそ」であることを伝える。
2.「夫は、『大好きなあなたから浮気されている』と確信して苦しんでいる」ということを知ってもらう。
3.妻のウンザリしている態度や雰囲気は夫の不安感を強め、ますます妄想を強固なものにする恐れがある。
4.その反対に妻の余裕と親しみは夫の安心につながり、妄想を和らげる効果があるかもしれない。

こういう具合に、妄想を抱かれているほうへの慰撫と提案になるだろうか。

今回の診察も、夫の辛さにも気づいてもらえて、妻の涙とともに終了。
「心に余裕ができました」
「その余裕を、ぜひ、ご主人さんにも持ち帰ってあげてください」
それ以後、彼女は診察に来ていない。二人で仲良く暮らしていらっしゃると願いたい。


ちなみに、夫の嫉妬妄想が改善したせいで、逆に寂しくなっちゃう奥さま方も少なからずいて、ほほえましいやら難しいやら(笑)


※ あくまでも精神療法の一環としての「半分冗談」というやつだが、半分は真理が混じっていると思う。

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