2016年3月25日

勤務医は「水」のような存在であるべし

ひどく喉が渇いている人の目の前に「飲料」と書かれた自販機がある。ただし、買ってみるまで何が出てくるか分からない。水か、お茶か、コーヒーか。もしかすると、炭酸ジュースかもしれないし、暖かいコーンポタージュかお汁粉が出るかもしれない。酒の可能性だってある。

病院を受診した患者にとって、医師との出会いはこの自販機のようなものである。だから、若手医師はまず無味無臭の水になること、そして水のままでいることを意識しておかなくてはいけない。炭酸飲料みたいに刺激的な先輩や、上質のコーヒーのように味わい深い大先輩に憧れることがあるかもしれないが、そんなところは目指さなくてよろしい。というより、勤務医である限りは、なるべく水であり続けるほうが良い。

もしもコーンポタージュのような診療がしたければ、開業して自らの味を追い求めていけば良い。そういう診療所は万人向けにはならないにしても、美味しいコーンポタージュを飲みたい人が集まるクリニックになるはずだ。

たとえ努力して水のような医師になれたとしても、熱いぬるい冷たいと文句を言ってくる人は必ずいる。お好みに合わせて温度を変えたとしても、今度は軟水だ硬水だとクレームをつけられるだろう。だから、熱くて飲めなかったり、冷やしすぎて凍ったりしない限り、細かい注文に惑わされる必要はない。

渇き人には、普通の水こそ何よりありがたいのだ。

当たりハズレのない平凡さ。

それは、勤務医にとって大きな武器になる。

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