2016年4月8日

絆創膏を貼ると、傷の治る過程が目に見えない。これは身体の場合だけでなく、心の場合でも似たようなところがあるはずだ 『心の絆創膏‏とアンパンマン』

絆創膏を貼ると、傷の治る過程が目に見えない。これは身体だけでなく、心でも似たようなところがあるはずだ。

ある日、長女サクラが転んで膝にケガをした。サクラは臆病なので、ちょっとしたケガでも絆創膏を貼りたがる。アンパンマンの絆創膏を貼って数日もすると、その絆創膏は端っこがめくれ始めた。風呂に入るたびにどんどんはがれていく。それでも、サクラは絆創膏をはがしたがらない。結局、途中で数回の貼り替えをしながら2週間以上は貼っていた。

ある日、絆創膏がポロリとはがれてしまい、サクラは恐慌状態に陥ってしまった。膝に傷跡はなく、3歳児の健康な皮膚が光っていた。触ろうとするとサクラが嫌がるので、半ば強引にさすって、
「ほら、痛くないでしょ?」
と元気づけるが、
「痛いーっ! 痛い!」
と泣き叫ぶ。

何度となく「治っているよ、見てごらん」と諭すのだが、見ることすら「イヤだイヤだ」の連呼で拒否してどうしようもない。ふと思いついて、
「もしかして、ケガが見えちゃうのが怖いのかな?」
と聞いてみると、少し落ち着いて、うん、と頷いた。そこで油性ペンを持ってきて、
「ここにアンパンマンを描いてあげようか」
そう言うと、安堵しつつ嬉しそうに膝を差し出してきた。当然、痛がることもない。

膝に描いたアンパンマンは日に日に薄れていく。そんな薄れたアンパンマンを見せながら、サクラは得意げにこう言うのだ。
「ほらなおった! なおっていってるよ! もういたくないよ!」
その姿に愛おしさを感じると同時に、精神科で出会う人たちの心の痛みもこんなものなのかもしれないと思った。

ひどく傷ついた心には、誰かが絆創膏を貼ってあげないといけない。ただ、それだけだと、治っていく過程が見えない。うちの長女サクラのように、とっくに治っているのに痛く感じたり、そこに目を向けることさえ怖かったり、そういうことがあるかもしれない。だから、適切な時期に絆創膏をはがしてあげるのが大切で、もし絆創膏なしでは不安だというなら、そこに自然と消えていくようなアンパンマンを描いてあげる。そんな治療、精神療法を目指したい。

すごく抽象的だが、そんなことを考えた。

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