2016年6月8日

現東京都知事の舛添要一にも読ませたい!! 『リーダーシップ』


臨床医が生涯にわたって学習すべき分野は三つある。一つ目は病気についてで、これは医師なら当然のことだ。二つ目は患者とのコミュニケーションのための学習・訓練。そして三つ目が、リーダーシップである。

世の中には、生まれついてリーダーの素質を持つネイティブ・リーダーがいるが、そういう人は決して多くはない。まったくの憶測だが、おそらく20人から50人に1人くらいではないだろうか。これは人類が小集団で生活していた頃の名残りみたいなもので、これくらいの頻度でネイティブ・リーダーが生まれれば、50人から100人の小集団において長期にわたる「リーダー不在」がないはずだという、まったくの推測に過ぎない。

そんなネイティブ・リーダーであっても、現代の多様化した社会構造においては、素質を活かせるとは限らない。むしろその逆に、リーダーの素質を持って生まれたわけではない大多数の人たちが、リーダーとしての立場に立たざるを得ないことのほうが多いだろう。医師も例外ではなく、恐らく、というより間違いなく、ほとんどの医師に生来のリーダーシップなど備わっていない。しかし、医師になった以上、本人が好むと好まざるとに関わらず、リーダーとして活動したり振る舞ったりしなければならない。だから、医師はリーダーシップを自ら積極的に学び、身につけなければいけない。自分のためでもあるが、それ以上にスタッフのため、チームのためであり、それは結局のところ、すべて患者のためである。

年に数冊は、こうしたリーダーシップ関連の本を読む。今回はニューヨークの元市長、ルドルフ・ジュリアーニの著書だ。多くの人がジュリアーニ市長の名前を聞いたことがあるのではなかろうか。それは、彼が9・11テロの時にニューヨーク市長だったからだろう。

本書ではジュリアーニのリーダーシップ論が、検事時代や市長在職中の逸話とともに語られる。アフガニスタンに対する考えや態度には一部賛成できない部分もあったが、リーダー論として非常にためになった。また、良質な翻訳で最初から最後までストレスなく読めた。

ジュリアーニ市長のエピソードを一つだけ紹介しておく。テロ後、世界各国の指導者たちがグラウンド・ゼロを訪れ、市長は彼らを案内した。多くの指導者が涙を浮かべたり、打ちひしがれたりしたが、豪華な金色のローブでやってきたサウジアラビアのアルワイード・ビン・タラル王子の態度にジュリアーニは違和感をおぼえた。
王子が薄笑いを浮かべていて、それが側近にまでおよんでいるように思えたのだ。現場を見て、心動かされたようすがないのは彼だけだった。不愉快ではあったが、「こっちが神経過敏になっているせいだろう」と思った。
王子は被災者のための基金に1000万ドル(10億円前後)の寄付をしたが、その時に配布したプレスリリースに、
「アメリカ合衆国政府は中東政策を見直し、パレスチナの主張に対し、もっとバランスの取れたスタンスを取るべきである」
といった声明も記されていた。テロの被災者に対する寄付金であるにも関わらず、こんな政治的なメッセージ、しかもアメリカにも責任の一端があるような書き方をされて……、そんな寄付金なんて受け取れるか!! ジュリアーニは熟慮の結果、この寄付をキッパリと断った。こんな大胆な決断を下せる政治家が日本にいるだろうか?

ジュリアーニさん、東京都知事になりませんかね?

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