2016年7月15日

空耳、空目、思い込み

統合失調症の薬「インヴェガ」が発売されて半年か1年ほどの間、一般名「パリペリドン」のことを「バリペリドン」だと思っていた。「パ」を「バ」、つまり半濁音を濁音だと勘違いしていたことになる。製薬会社からもらう資料で何度も目にし、また説明会でも何回となく聞いたはずなのに、俺の目も耳も、そして脳も、「バ」リペリドンを修正することなく日々が過ぎていった。思い込みとは恐ろしいものである。

ある日、指導医Y先生と話していて自らの誤りに気づき、最初に思ったのは、
「なんだか、気の抜けた名前だなぁ」
ということだった。「バリ」と「パリ」では、絶対に「バリ」のほうが強い。二つの言葉を繰り返した「バリバリ」と「パリパリ」を比べてみるとよく分かる。どうして「パリペリドン」なんて気の抜けた名前をつけたのだろうか。自分の勘違いを棚に上げて、薬の一般名にケチをつけようとする。自己正当化とは恐ろしいものである。

人というのは、自分を正当化する生き物である。なぜなら、そうしないと自分の中の何かが崩れそうだったり、胸がザワついたりするからだ。思い込み、勘違い、空耳、空目、幻視、幻聴といったものも正当化されるし、その正当化が非常に頑固・強固になると「妄想」になる。このようにして、パリペリドンとバリペリドンの勘違い話から、強引に妄想の話に持っていこうとする。精神科医ブロガー根性とは、恐ろしいものである。

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