2016年8月5日

精神科とプロ野球の意外な共通点!? 『マネー・ボール』

数年前に、なにげなくプロ野球のリーグ成績を見ていると、得失点差、防御率、盗塁数など見比べて、1位で良いはずなのに2位になっている日ハム、1位を走る西武という不思議さが面白かった。

プロ野球パ・リーグの順位表が面白い

プロ野球の優勝は、チームの勝率で決まる。だから、たとえ1点しかとれなくても勝てば良いし、負ける時にはいくら点をとられても1敗にしかならない。ということは、例えば、『勝つ時は「1対0」と地味だが、負ける時には10点以上とられてボロ負け』という見栄えのしないチームでも、優勝する可能性があるということだ。

ボロ勝ちと惜敗を繰り返し、一見すると強そうなのに優勝できないチームがあるかと思えば、辛勝かボロ負けばかりで弱そうに見えても優勝するチームがある。これはすごく刺激的なことだ。

実は、精神科診療でも似たようなところがある。一人の患者を相手にした毎回の診察を試合と考えた時、「ボロ勝ち惜敗型」で診療が上手くいっているように見えても治療できないことがあるし、「辛勝ボロ負け型」で見栄えのしない診療でも最終結果は良好ということもある。

例え話に過ぎないので、現実にはもっといろいろな要素が関係するが、こういう視点を持てるようになるし、プロ野球のデータというのは見ていて面白いものだ。


本書は上記のような貧相な考察ではなく、もっと膨大なデータを元にしたチーム補強のルポである。メジャーリーグの貧乏チームであるアスレチックスが、いかにしてチームを安く補強して勝ち続けるのかを、ゼネラルマネジャーの人物像や考え方を中心にして、時に選手にもスポットライトを当てながら描いてある。

メジャーリーグという華やかな舞台には、光もあれば影もある。いやむしろ、どちらかというと影のほうが多いのかもしれない。そんな世界を見事に切り取って見せた本書は、多くの人に推薦したくなる本だった。

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