2016年10月14日

素人モノマネとプロとの違いは、細部に宿る

フィギュアスケートの荒川静香が金メダルをとった当時、「イナバウアー」という言葉と動きが流行した。イナバウアーをマネする人たちを見ながら、「大雑把な形は同じなのに、どうしてこうも違うのか」ということが疑問だった。

ある日、フィギュアスケートの映像を眺めながら、表情や指先(そしてもちろん衣装も)といった細部にまで神経を行き渡らせているから美しく見えるのだと分かった。これは当然と言えば当然で、トッププレイヤーやトップを目指す人たちはそこまで気を遣わなければいけないのだ。

そこで我が身を振り返ってみてどうだろうかと考える。病院の外来は、大雑把に言えば、入室、診察、処方、退室の流れになる。これだけを素人がマネしても、決して病院の診察らしくはならない。イナバウアーと同じで、例えば精神科医なら入室時の声かけ、視線のやり方、会話の始め方と組み立て方、処方を決める時の声のかけ方、退室時の挨拶といったところにまで気を配っている。いや、ただ気を配るだけでなく、どうするのがより良いか改善を心がけている。

例えば俺の診察室の机には、1年前から小さな観葉植物のパキラを置き始めた。これがあるだけで、患者は目のやり場に困ることが減るだろう。パキラの成長を患者との話題にすることもある。ただ置くだけでなく、位置や向きなども、なるべく良い効果が出ることを期待して時々変えている。こんなことに気づく人は少ないかもしれないが、そこまでやる。

ここまでしてこそのプロフェッショナルであり、そんな細部に気をまわせなければ、それは素人のモノマネと大差ない。

素人モノマネとプロとの違いは、細部に宿るのだ。

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