2016年11月15日

ママがいない夜の寝物語、そして散歩

娘らの寝る前のお楽しみは、オリジナルの寝物語である。たいてい二つか三つはせがまれる。毎回の話の前に、娘らが登場人物を決める。

「でっかいオバケと、でっかいキョウリュウと、でっかいオニオンナが出てくるのが良い!」
と長女サクラが言えば、次女ユウも負けじと、
「でっかいトットロと、でっかいパパと、でっかいママが良い!」
なんて付け加えてくる。

主人公は常に長女サクラと次女ユウだ。物語は、いつも、こんなふうにして始まる。

「むかしむかし、あるところに、サクラちゃんとユウちゃんと、パパとママが住んでいました。サクラちゃんとユウちゃんは、とっても可愛くて、とっても仲良しなきょうだいでした」

二人はオバケにさらわれてオバケの国に行ったり、地下帝国にもぐって恐竜に出会ったり、突然現れた鬼女と対決したりする。でっかいトトロやでっかいパパとママがやってきて手助けをしてくれるが、最終的には、二人で力を合わせて困難を克服する。ラストは、たいていこうだ。

「おうちにかえって、パパとママとお風呂に入って、ごはんを食べて、歯磨きをして、そして、みんなで一緒に寝んねしました」


さて、三女が生まれた翌日の夜。次女ユウはあっさり寝たが、4歳9ヶ月になろうとする長女はなかなか寝ない。腕枕のなかで、あっちを向き、こっちを向きしている。ふと見ると、両目からポロポロと涙を流しながら、声を殺して泣いている。
「寂しいの?」
そう聞くと、コクリと頷いてしゃくり上げるサクラ。
「じゃ、昔話をしようか。今回は、赤ちゃんも出てくるのにしてみる?」
また、小さく頷くサクラ。


むかしむかし、あるところにサクラちゃんとユウちゃんと、パパとママが住んでいました。
ある日、ママのお腹の中に、赤ちゃんがやって来ました。赤ちゃんはグングン大きくなってー、そして、ある日、ポンッ、と生まれてきました。サクラちゃんもユウちゃんも大喜び。
でも、ママと赤ちゃんは病院に泊まらないといけないんだって。さびしいね。


「あとなんかい寝たら、ママ帰ってくる?」
「今日も入れたら四つだよ。あと四つ寝たら、ママも赤ちゃんも帰ってくるよ。やさしくしてあげられるかな?」
「うん。赤ちゃん、かわいかったもんね!」
ちょっとだけ笑顔が戻った。
「じゃ、ママと赤ちゃんが帰ってきたら、どうやって寝るか考えてみようか?」
「うん、こっちが赤ちゃんで、次にママで……、サクラが寝て、パパ」
「あれれ? ユウちゃんは?」
「えっとー、一番あっちがユウちゃんでー、ママで、赤ちゃんで、サクラで、パパ、ってのはどう?」
「サクラは赤ちゃんの隣なの?」
「うん」
「赤ちゃんが泣いて、うるさいかもよ」
「えー(笑)」

こうして笑顔を取り戻したのも一瞬だけ。その後はまた涙がポロポロ。


「久しぶりに、抱っこひもしてあげようか?」
嬉し恥ずかしといった様子で頷くサクラ。抱っこして、しばらく家の中を歩いたが、寝つく様子はない。するとサクラが小声で、
「パパ、お外に行きたい」
次女ユウだけ残していくのは心配だったけれど、サクラは妻が切迫早産で入院した時からずっと頑張っていたし、特別にご褒美だ!


夜の田舎道をテクテク。
「寒くない?」
「うん」
テクテク、テクテク。


はじめのうちは、歩くリズムに合わせておどけたように頭を振っていたサクラだが、徐々にそれもなくなり静かになった。スーパームーンが近いらしく、厚めの曇天を透かして月明かりが見えた。

家に一人で寝ている次女ユウのことが心配だったが、サクラには、ママがいないぶん「せめてパパだけでも独り占め」という時間をあげたくて、ただ黙々と、テクテク、テクテク。

どうにか眠れたサクラ。でも夜には、ちょっとだけうなされていた。それから次女ユウは、夜中2時ころに起きて「手が痒い」「足が痒い」「お尻が痒い」と、俺にかいてとせがむ。かいていてウトウトすると、やめるなといってグズる。

そんなこんなで、パパはもう寝不足で疲れたよ……。あと数日だけ、みんなでガンバロー!

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