2014年10月17日

エボラ患者の医療廃棄物を業者が受け取り拒否。葬儀はどうなる?

アメリカではエボラ患者の医療廃棄物を業者が引き取り拒否しているようだ。これは、もし日本でエボラが発生した場合でも同様のことが起こるだろうと予測して然るべきことである。

この業者の対応について同意はできないものの、まったくもってバカげたことだと批難することもできない。エボラの感染経路に関して、UpToDateのエボラに関するページ(last updated: Oct 09, 2014.)、『TRANSMISSION Person-to-person』(感染 人から人)にある記載を一部、注釈をつけて訳してみる(原文はUpToDate Ebolaにて)。
エボラウイルスは、事前にウイルスに汚染されたものとの接触によって感染するかもしれない(※ただし、助動詞mayはかなり低い推量で、感染するとは言いきれないが、絶対に感染しないとも断言できないという感じだろう。またtransmitted thoughは恐らくtransmitted throughの誤字である)。限られたデータしかないが、ウイルスが数日間は衣類、寝具類などに残っているかもしれないと言われている(※ここでもやはり助動詞mayであることに注意)。衣類などに触れることによって感染することを裏付けるような質の高いデータはないが、潜在的リスクがあったとしても、そのリスクは適切な洗浄・消毒によって減少する。
「リスクは適切な洗浄・消毒によって減少する」とは言うものの、CDCは適切なプロトコルをもってしても看護師への感染が防げなかったのだから、廃棄物業者が「医療廃棄物は病院で適切な洗浄・消毒を済ませてある」と言われたとしても、しり込みするのは当然である。

今後、葬儀に関しても似たようなことが起こる可能性はある。遺体の安全な取り扱いに関しては、CDCは病院と葬儀社に対してガイダンスを発表している。そこでは、感染予防のための装備や手順についての他に、
「エンバーミングはするな」(※)
「遺体袋を開けるな」
「密閉された棺桶に入れろ」
といった具体的な指示もなされている。

日本でこういう取り組みがなされているのかどうか、調べた限りでは見つからなかった。日本でエボラ患者が発生した場合、検査や治療は迅速・適切に行うシステムがあったとして、それ以外の医療廃棄物や葬儀などの部分で早急かつ適切な対応をする準備ができているのかどうか、ちょっと疑問である。

<参考>
米エボラ患者の医療廃棄物、業者が引き取り拒否
UpToDate Ebola
Guidance for Safe Handling of Human Remains of Ebola Patients in U. S. Hospitals and Mortuaries

※エンバーミング
遺体を消毒や保存処理、また必要に応じて修復することで長期保存を可能にする技法。日本語では死体防腐処理、遺体衛生保全などという。土葬が基本の欧米では、遺体から感染症が蔓延することを防止する目的もある。

エンバーミングは、エンバーマーと呼ばれる葬儀の専門の技術者や医学資格を有した医療従事者によって、化学的・外科学的に遺体を処理される。 現代のエンバーミングは、具体的には以下の方法で行われている。

1.全身の消毒処理、及び洗浄を行う。
2.遺体の表情を整え、必要に応じて髭を剃るなどの処理を行う。
3.遺体に少切開(主に頸部など)を施し、動脈より体内に防腐剤を注入。同時に静脈より血液を排出する。
4.腹部に約1cmの穴を開け、そこから鋼管を刺し胸腔・腹腔部に残った体液や、腐敗を起こしやすい消化器官内の残存物を吸引し除去する。また同時にそれらの部分にも防腐剤を注入する。
5.切開を施した部位を縫合し、事故などで損傷箇所がある場合はその部分の修復も行う。この時、切開を行った部分にはテープ等を貼り目立たなくする。
6.再度全身・毛髪を洗浄し、遺族より依頼のあった衣装を着せ、表情を整え直した上で納棺する。

上記の処理を行われた遺体は注入される薬剤の濃度や量により数日~2週間程度までは常温での保存が可能である。またこれ以上に徹底した処理を行えば、保存可能期間を更に延ばすことができ、防腐剤の交換など定期的なメンテナンスを行えば、生前の姿のまま保存展示を実現することが可能である。
Wikipedia:エンバーミングより

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返事が遅くてすいません。