2014年10月10日

エボラウイルスに対する日本の現状

一般の人はほとんど知らないと思うが、エボラ出血熱が疑われる患者が現在の日本で出た場合、非常にまずい状況にある。

エボラは日本では1類感染症に分類される。国内でエボラを含むこの1類感染症が疑われる患者が見つかった場合、患者は直ちに指定医療機関に収容される。これは平成26年4月1日時点で全国に47施設、92床ある(参考:厚生労働省)。つまり感染力の強いエボラが100人規模で流行した場合、あっという間にパンクするということだ。

それでも、治療が間に合うならまだ良い。問題はそれ以前にもある。

エボラが疑われた場合、診断を確定させないといけないが、そのための施設が日本では稼働していないのだ。もう少し詳しく書くと、疑い患者からの検体はまずBSL-4施設(BSLはBiosafety Levelの略)に送られ検査される。BSLは1から4まであり、BSL-4施設は『危険性が極めて高い感染症を最も安全に取り扱うための設備を備え、最も厳重な管理運営がなされる施設』である。この施設を持つ国立感染研究所(東京都)も、理研の筑波研究所(茨城)も、実は地域住民の反対にあって現在稼働していない。

ではどうするかというと、検体をアメリカなどに送って確定診断してもらわなければならない。そして診断が確定するまでは対症療法(解熱、輸液、輸血など)だけしかできない(参考 長崎大学HP 日本でBSL-4に該当する病原体の感染者が発生した場合、現状だと、感染者はどのように処置されるのですか?)。先日話題にしたエボラに効くかもしれない薬が、本当に効果があったとしても、診断が確定するまでは投与できない。数日の治療の遅れが致命的かもしれない病気にとって、このタイムラグは深刻だ。また、エボラのような危険なウイルスを含む可能性の高い検体を国外に持ち運ぶリスクもあり、それを受けとる国の人たちの反感もあるだろう(平成26年10月11日追記 厚労省は国立感染研究所で検査をする方針のようだ。参考 万一、日本国内でエボラ出血熱の患者が発生した場合、どのような対応が取られるのですか?)。

これらに関して、平成26年8月7日付のJapan Timesに気になる記事があった。
Japan could handle Ebola outbreak, health official says
全文は訳せないが、第2パラグラフを簡単に訳すと、
「国立感染研究所の高官は、日本は患者を安全に扱うための適切なシステムがあると語った」
この職員は当然、BSL-4施設が稼働していないことは知っているだろう。そのうえで、これほど楽観的なのが怖い。

普段は使用していないBSL-4施設をいきなり再稼働させたとして、非常に高度な教育を受けている専門スタッフでさえ不慣れな部分が出てくる。それに加えて絶対に忘れてはいけないのが、施設は専門スタッフだけで動くわけではない、ということだ。掃除をはじめとして、高度専門スタッフ以外が関わる部分が必ずある。そういう業務に携わる人たちを、日ごろからBSL-4施設でトレーニングしておかなければならない。さもないと、スペインの看護助手が顔を触って感染したようなケースが絶対に発生する。適切なシステムがあっても、それを運用して現場で働くのは人間なのだ。国立感染研究所の高官からして、この程度の甘くて緩い認識である。エボラが日本で発生した場合、どういうことになるかが目に浮かぶというものだ。

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19 件のコメント:

  1. 日本で現在BSL-4の施設が稼働していないのは事実ですが、日本でエボラ出血熱の疑いが出た場合、国立感染症研究所で検査することは可能ですので、「検体をアメリカに〜」という部分は事実ではありません。
    BSL-4がないとエボラウイルスの「研究」ができないということであって、厳密に一切取り扱いできないというわけではないんです。
    また、違う日の記事でインドで日本人女性がエボラ発症と書いていますが、陰性でしたし、そもそも「発症したという情報」ではなく「発症疑いの情報」でしたよね。
    個人的見解や適当な記述が多く、訂正や情報の更新が必要ではないでしょうか。

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    1. >匿名2014年10月10日 14:53さん
      ありがとうございます。
      インドは陰性でしたね。訂正しておきます。

      ところで、BSL-4施設がない場合の対応に関しては、長崎大学のHPを参考にしています。
      http://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/bsl4/faq/index.html#q2-19
      「厳密に一切取り扱いができないわけではない」というのが、どういう状況であればBSL-4施設を稼働させるのかなど、ご存知であればご教示ください。またエントリに書いたようにいきなりの再稼働に伴うリスクについてはどうお考えでしょうか?

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    2. 言葉が足りませんでした、申し訳ありません。
      疑いが出た時点で、RTーPCR検査は国内にあるBSL−3の施設でも可能です。そのため、アメリカに検体を送り、最終的な確定診断が出るまで対症療法しかできないという表現は正しくないということです(陽性だったとして、富山化学の薬などを試すかわわかりませんが)。そして第一に、現状エボラ特効薬は存在しないため、どの国でも実質は対症療法しかないので、「日本だけ」というように強調する必要はありません。
      BSL−4施設については、少なくともいきなり稼働ということはありません。ご指摘の通りいきなり施設を使うとなるとリスクがあり、人間のエラーが起こる可能性も高いので、機器の動作確認や専門家であっても再度訓練する必要があり、時間が必要です。具体的にどういう状況であれば稼働、と明言するのは難しいです。このエボラアウトブレイクが稼働や新設のきっかけになる可能性はありますね。

      他エントリでもエボラの感染力は高くて最凶!特に日本は危険!と煽るように書いておられ、その通りの部分ももちろんあります。しかしそれによってパニックが誘発されれば、エボラ感染の疑いなど全くない人々も少し発熱しただけで不安になり病院で受診したり、陰性証明が欲しいと医療機関に訪れ、現場の混乱が懸念されます。実際に5年ほど前の新型インフルエンザや今年のデング熱でそういう患者さんは少なからずいらっしゃいました。
      ブログやTwitterでの情報発信は素晴らしい取り組みで、頭が下がりますが、情報をより精査して発信することが必要ではないでしょうか。
      長文失礼致しました。

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    3. >匿名2014年10月10日 18:13さん
      ありがとうございます。
      厚労省HPで、確かに国立感染研究所で検査するとありました。
      http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/ebola_qa.html
      実際にそうできるかどうかはちょっと疑問符で、かつやはり稼働するなら今のうちから準備しといてぇと思います。今この状況でいきなり国立で「エボラ検査します」と言われたら、自分が近隣住民なら反対します(笑)

      BSL−3施設でも検査ができるのは知りませんでした。そうであれば、現状、いきなりBSL-4施設を再稼働して検査ということにはならなさそうですね。これは安心していいことなのか、それともやはりBSL-3でエボラを扱うことを心配したほうが良いのか……。いずれにしろ懸念は出てきます。もしよろしかったら、BSL-3施設でも検査可能ということが分かるHPなど教えていただけませんでしょうか。なるべく追加情報を発信していきたいと思っています。

      エボラの感染力が高くて最凶という認識はありますが、特に日本が危険とまでは思っていません。というか、すべての国が等しく危険ではないかと考えています。

      ご指摘のように、パニックを煽ろうとしている部分はあります。パニックになって欲しいと思っているわけではないのですが、現在の日本全体の空気感が、あまりにもエボラに対して悠長に見えて、もう少し危機感を抱いて欲しいというところです。今のところ、自分が勤務している病院医局でもエボラは話題になりません。ただ、確かに人の「警戒感」から「パニック」へはS字曲線のようになりそうなので、一度閾値を超えると大パニックになるかもしれませんね。これから風邪やインフルエンザの季節でもありますし。

      このエボラ流行、どういう決着がつくのでしょうね……?

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    4. >>匿名2014年10月10日 18:13さん
      後日、改めてエントリに書こうと思うのですが、取り急ぎ追記という形で、参考リンクとともに、
      「平成26年10月11日追記 厚労省は国立感染研究所で検査をする方針のようだ」
      という一文を追加しました。

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    5. >いきなり国立で「エボラ検査します」と言われたら、自分が近隣住民なら反対します(笑)
      ウイルス感染症とその防御に知識がない人程、「なんとなく怖い」という気持ちでこういうことを言うから日本ではBSL-4が動かせないんですけどね。どういう過程を踏めばエボラを安全に検査できるのか、具体的に答えられますか?それを知らない人には、反対する根拠も賛成する根拠も特にないように思えますけど。

      BSL-3でも検査可能、というのはPCR法(及びELISA)なら可ということです。これはウイルスそのものを増殖、分離する病原診断方法ではないため、取り扱いができるということかと。
      申し訳ありません、バイオセーフティの詳しい手引きが載っているサイト等が今見当たりません。

      >現在の日本全体の空気感が、あまりにもエボラに対して悠長に見えて、もう少し危機感を抱いて欲しいというところです。
      危機感を持たせるために、誇大表現や曖昧な情報を伝えるというやり方は医療従事者として考えられないことです。このブログのエボラに関する記事は、全体的に的外れで感染症医や専門家のリスコミを台無しにしかねないもので冷や冷やします。テキサスでの輸入例の際アメリカでは、過剰にエボラの恐怖を煽るツイートをした少年を拘留する程度には情報の影響に慎重な構えです。
      知識がないのなら、バイアスのない基礎情報やニュース記事を淡々と紹介する方が有効な啓発になるかと思いますので、ご検討ください。

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    6. >匿名2014年10月11日 22:18さん
      ありがとうございます。
      「どういう過程を踏めばエボラを安全に検査できるのか、具体的に答えられますか?」
      ぜひ教えてくだささい!! その情報がないから混乱しているのだと思います!!

      「誇大表現や曖昧な情報」
      という部分には抗議させてください。誇大はしていません、ハリソンや国立機関の情報を「鵜呑み」にしています。それらが信用できないというなら別ですが。

      それから「全体的に的外れ」というのも、それがどの部分なのか、できれば個別に指摘していただけるとありがたいです。我ながら、事態の重大さに鑑みて、公的に発行されているものなどを参照しつつ細心の注意を払って書いてはいるつもりです。

      知識がないからこそ自分なりに調べて情報発信をしていますし、海外メディアがすべて正しいとも思っていません。そんな中で、バイアスが避けられない状況だとは思っています。また、基礎情報はともかく、バイアスのないニュース記事というのはないのではないかとも思っています。

      「誇大表現や曖昧な情報を伝えるというやり方は医療従事者として考えられないこと」
      少なくとも、根も葉もないことは書いていません。Up-to-dateにあたるほどの時間がとれないのは残念ではありますが。

      最後に、
      「全体的に的外れで感染症医や専門家のリスコミを台無しにしかねない」
      について、エボラに関してはアンテナ張っているつもりの医療従事者である自分にすら大した情報は入りません。一般社会ではどうでしょうか……? 感染症医や専門家のリスコミが台無しになるとは言いますが、そこまでなにかしましたっけ? どうなんでしょうね?

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    7. お返事ありがとうございます。

      >ぜひ教えてくだささい!! その情報がないから混乱しているのだと思います!!
      その情報がない、というと?感染研の検出規定や保健所、検疫法、あと検体を運ぶのは東京都の場合消防なので、そういった資料に目を通して確認し理解してますか?という意味で書いたのですが…。ネットでも情報公開しているはずです。

      根も葉もないことは書いてないと言いますが、あなたは一応医師で比較的影響力が強いことはわかっているのに不確定な情報を流してましたよね(インドの件や、まず検体をアメリカに送らなければ検査ができない等)。あと潜伏期間は2~21日間です。
      また「最凶のウイルス」というのは感染力が強いことをおっしゃっているんだと思うんですが、今回のエボラの基礎再生産数は2を切るくらいで、他のウイルス感染症と比べると広がりは小さい部類に入ります。接触感染主体であっても致死率の高さから与える影響が高いのは確かなんですけど、誇大気味だと思います。
      それと現地の医師はテレビで見るような感染防御をした状態でエボラに感染したのかは現状特定されておらず、防護服の脱衣時感染や診療所以外での感染も考えられます。こうしたことから、このブログを読んでいると、少なくとも医師のわりにちょっとわかってない人かな?と思います。
      的外れ、というのは医療従事者が目を付けるべきはあなたのように感染力が怖いと煽ることや備蓄を呼びかけることではなく、欧米などよりリスクの大きい国の対策から学ぶべき所を知らせたり、実際エボラが入ってきたセネガルやナイジェリアでどうやって収束させたのか?など建設的なことであるべきではないか、ということです。
      喧嘩腰な物言いで申し訳ないのですが、現場で働く医療従事者としてはやはりパニックは回避したいので、あなたの表現が気にかかるし、エボラに関してだけ言えば、本当に医師なのか?とすら思います。
      他エントリの「「空気感染しない」は安心材料ではない。」という表記ですが、これは特段安全材料として言っているわけではなく、一般人の無駄な憶測を避けるための事実ですよ。挙げればわりときりがないのですが、ここで情報を得ろと言うわりに個人的見解が多くて困惑します。
      バイアスの全くないニュース情報はない、というのはその通りです、自分が間違っていました。なるべくCDC等が発表する最新情報に則したものであるべき、ですね。

      >感染症医や専門家のリスコミが台無しになるとは言いますが、そこまでなにかしましたっけ?
      感染研を含め専門家はメディアで正しい情報を伝えるように努めていますが、一方で無責任な情報に惑わされている人もいます。「そこまでなにか…」と言われても、あなたは今少し冷静さを欠いていませんか?

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    8. >匿名2014年10月12日 1:05さん
      ありがとうございます。
      たいへん申し訳ないのですが、

      具体的に答えられるのか? → 知らないので教えてください → 情報公開しているはずなので調べろや

      この流れはあまり建設的ではなく、しかも情報公開している「はず」って……。先生がご理解されている範囲で教えていただければ、それをそのまま情報発信できるのに……。
      これでは「この先生、本当にそこまでご存知なの?」という疑念も出てきます。

      インドの件は誤発信というか、もともと「という情報がある」と記載したようにその時点での発信自体は間違っていなかったのですが、陰性だったという追加情報を書かなかったのはまずかったと反省しています。

      「検体をアメリカに送らなければ検査ができない」というのも、細かいところですが「アメリカなど」ですね。これについては上記コメントで申しましたように、BSL-4を造りたい長崎大学の公式HPをもとに書いています。その後、ご指摘いただいて厚労省HPを確認して追記もしました。長崎大学は、BSL-4施設欲しさに誇張表現したということなんでしょうね……。

      潜伏期に関しては、いくつか資料を見ましたのでどう書こうかと迷った覚えがあります。最終的にはハリソンに準拠したのではなかったかと思いますので、そのツッコミはハリソンのほうへお願いします。きっと症例数がここまで多くない時では分からなかったことがたくさんあるのでしょう。

      「空気感染しないは安心材料ではない」に関しては譲れません。というか、先生自身、高度な知識を身につけすぎたせいで、一般人の知識レベルや心情をご理解できなくなっていませんか? 先生はもちろん空気感染と飛沫感染の違いはご存知として、それを一般の人がどれくらい理解しているか、ご存知ないのではないでしょうか。 
      「インフルエンザって空気感染しないんだよ」
      これを私の身近にいる一般人の多くに教えたところ、「え?」「は?」「じゃ何?」という反応です。こういう最初に共有しておくべき基礎知識の有無が乖離した状態で、
      「空気感染はしないんだよ」
      ということは事実だとして、その事実が何を意味するのかを分からない人が多数いることを、もっと知って頂けたらなと思います。事実を事実どおりに書いて、これが事実だと言っても、基礎知識がないと何も分かったことにならない、というか伝えたことにならないですよね。伝えた気にはなるけれど。自ら高度な知識があって、さらに高度な知識を持つ人たちに囲まれて、そうでない人たちに接する機会が減れば減るほど、高度な知識が常識になってしまって、知識のない人の気持ちが分からない状態になるのは誰しも同じだとは思いますが……。

      「現地の医師はテレビで見るような感染防御をした状態でエボラに感染したのかは現状特定されておらず、防護服の脱衣時感染や診療所以外での感染も考えられます」
      これはまったくもって同意します、が、これもまた憶測でしかありません。感染防御を徹底しても、そこをすり抜けて感染するとは考えていませんが、「接触感染だと理解している医療従事者が多数発病している」ことが問題だという認識です。ああいう防護服を着て従事している人はごく少数だという情報もありますので、実際には防御なしで治療にあたらざるをえないのかもしれませんが、だからといってそれくらいで感染するというのは、やはり感染力が強いですよね。

      また、仮に先生が仰るように診療所以外での感染が多数だとして、それはどういう状況が推測されるのでしょうか? 医療従事者や宣教師が診療所以外の日常生活で感染するというのも、やはり感染力、伝播力の高さを物語るだけのような気がするのですが……。

      こうしたことから、先生が私を「分かってない人かな?」と思われるのと同様に、私も「象牙の塔のお方かな?」という心象を持っています。現場の~と書かれているので、きっとそうではないのでしょうけれど。

      「感染研を含め専門家はメディアで正しい情報を伝えるように努めています」
      これがもっと広まらないことが大問題だと思います。その努力の結果をリンク貼付などで示していただければ、及ばずながらここで宣伝していきたいと思います。

      最後に、ソースとバイアスについては、WHOとCDCで感染者の把握、予測数が大幅に違うことからも、公的機関でさえバイアスは避けられないということの良い見本だと思っています。統計にバイアスがないことはありえないですし、こんなことは先生には言わずもがなかもしれませんが。

      以上、いちおう先生のご指摘・ご批判には逐一お応えしていると思います。

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    9. 申し訳ありません、まさか知らないから教えて、という答えが来るとは思わず…。
      どうすれば安全にできるか、という規定等があります。都道府県によって違いもあるので、お住まいの都道府県の保健所のページもチェックすると良いですね。

      感染研の病原体等安全管理規定
      http://www0.nih.go.jp/niid/Biosafety/kanrikitei3/Kanrikitei3_1006.pdf

      国際感染症センターのHP。「一類感染症に備える」という部分のPDFが参考になります。
      http://www.dcc-ncgm.info/topic-%E4%B8%80%E9%A1%9E%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87%E3%81%AB%E5%82%99%E3%81%88%E3%82%8B/

      これは新型インフルの時の資料ですが、一類感染症のことも書いてあるので参考に。
      http://www.fdma.go.jp/html/intro/form/pdf/kento_infuru/230303-gijiroku.pdf

      あとこれはCDCがおこなったエボラに関する公開チャットのまとめです。エボラに関する基礎的な知識が多いので参考に。
      https://storify.com/CDCgov/live-ebola-cdcchat-october-2-2014#publicize

      >情報公開しているはずなので調べろや
      意地悪で言ったとかではなく、そういった情報は検索すれば出てきますよ、という助言のつもりだったんです。ごめんなさい。


      >これもまた憶測でしかありません。
      もちろんそうです。だからこそ、あなたも医療従事者だったら、憶測を事実のように書いて発信しないで欲しいということです。

      >長崎大学は、BSL-4施設欲しさに誇張表現したということなんでしょうね……。
      >そのツッコミはハリソンのほうへお願いします。
      長崎大やハリソンが悪いというより、あなたの情報を調べたり精査したりする力を欠いている所もありますね。自分がコメントしなければ加筆や修正をしなかったのでは?

      高度な知識がどうこうということではなく、自分が伝えたいことは、「無責任にパニックを煽らないで下さい」ということなんです。あなたの言う知識のない人々が「空気感染しないからって安心するな」という情報を得て、パニックになるマイナスはあれど、何かプラスになるのでしょうか。
      冷静に情報発信すればいいのに、煽るような記事を目にしたので、大丈夫かなと思った次第です。知識のない人々はこのブログは医師が書いているから正しい、と思って見ていることを忘れないで下さい。感染症医でブログやTwitterをしている人を見てみると、やはり不用意な情報発信への懸念が示されていることがわかると思います。
      批判したいわけではなく、情報の取り扱いに注意して下さるようにお願いしたいのです。引込みがつかなくなってしまったのかもしれませんが、少し姿勢を変えれば、もっと素晴らしい記事になるのに惜しいなと思っています。

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    10. >匿名2014年10月12日 10:26さん
      ありがとうございます。
      リンク先、それから改めて厚労省のページ、東京都の保険所のページ(保険所の代表として)などを確認したのですが、とても「熱心に情報発信している」と言える状態ではないですし、また内容も「ほらこれだけ準備しているから安心しなさい」と言えるようなものとは思えませんでした(CDC除く)。いかにも日本のお役所仕事という感じで、具体性に乏しいというか、一歩踏み込んだ部分のなさが目立つというか……。

      長大については、専門家である片峰学長が同様のことをつい最近のインタビューで答えているようですが、どうなのでしょう……?  ハリソンに準拠することも、公式に刊行されたものからの引用ですし、情報収集として最新ではないけれど、情報収集力を欠いているとまでは言えないと思いますよ。修正に関してはウッカリしていましたが、もし仮に今後症例が増えるにつれて、潜伏期が1-23日と訂正された場合、先生はこのコメント欄に戻ってきて修正されるのでしょうか? おそらくそんなことはされないと思いますが……。

      正しい情報発信は、それがいくら正しくても、「熱心」かつ「効果的に」やってこそ意味があるものだと思います。国立感染研究所や厚労省のような、熱心なのかもしれないが、魅力に乏しいホームページでは、それこそ凄く惜しいと思いますし、先生もツイッターをされているようですので、ぜひそういうもっと影響力の大きい場所で熱心に広報されることを願っております。

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  2. 今日は匿名で。2014年10月14日 21:51

    横やりごめんなさい。
    医師のブログが単なる情報発信よりは、その分野の専門家であるからこそ、個々の感情やベクトルがある程度あった方がいいと、一医師としては思ってます。確かに医師以外の人が医師のブログを読むと鵜呑みにして、このエボラ関連の場合はパニックを煽る結果になる、などの懸念があるのかもしれませんが、『輸血は悪!』を謳うトンデモ医師の本が売れてる世の中ですから、、、 TVで◯◯の家庭の医学系の番組がしてる度に、翌日の外来診療を考えて胃が痛くなるのでお気持ちは分かりますが。人気ブログとはいえ、いちはさんのブログにいきつき、エボラのエントリをきちんと読む素人がどれほどいるのかと…
    でも匿名医師さんといちはさんのやりとり、第一線を離れ空き時間の大半を家事してる子持ち内科医には勉強になりました。ありがとうございます。

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    1. >今日は匿名で。さん
      ありがとうございます、きっとあの方でしょうと想像しながらお返事を。
      「人気ブログ」 → 大きな間違いで、毎日のアクセス解析で落胆するほど場末のブログです(笑) まったく同じ情報・資料を見ても、それに安心感を抱く人、逆に危機感を抱える人が出るのが当たり前で、みんな揃って右向け右のほうが怖いし気持ち悪いと思っています。話がそれますが、死刑制度や原発なども、同じ資料を手にして賛成・反対の両派が、賛成根拠、反対根拠を見出せるはずです。
      このブログの、ましてやコメント欄なんて、正しい情報の発信場所としてあまりに貧相で勿体ないですから、ぜひとももっとオープンで人の多いところで情報を効果的に広めていただけたらなと願っています。
      まぁ、このブログ主の俺が本当に医師なのか、コメントされている「先生」も勝手に俺が先生と思っているだけで本当に医師なのか、実は医師でない二人がやり取りしているだけ、なんてミステリな結末もないとは言いきれませんが(笑)

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  3. エボラ出血熱の検査の内容ですが、厚生労働省の情報提供ページの資料から、国立感染症研究所の資料へとリンクが張られてますよ。

    エボラ患者の検査に関するフローや検査内容などがのってます。
    エボラ出血熱に対する対応について(情報提供)平成26年10月3日
    http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/dl/20141007_01.pdf

    エボラ出血熱診断マニュアル
    http://www.nih.go.jp/niid/images/lab-manual/ebora_2012.pdf

    検査マニュアルについてはフルコースとして培養も書いてありますが、基本はウイルス遺伝子の検出とELISAによる抗原検出でしょうね。
    どちらも患者検体の中のウイルスを不活化(殺して)した後で検査を実施する様になってます。
    P4が使えないということで、使わなくてもできる様に検査体制を準備していますね。
    ただP4施設ですが、現状P4として使えないというだけで、P3施設として運用されているはずですので、施設が止まった状態で全く使い物にならないということはあり得ません。
    P3だろうがP4だろうが、ウイルスが漏出する様な馬鹿なやり方を病原体の専門家はそもそもやってませんし、検査されたら反対するという様なうかつなコメントは、医師という専門家にしては無責任だと思います。
    病原体は正体不明の呪いや祟りではありません。消毒剤や熱で簡単に死ぬ生き物です。
    病院の診察室の方が実際ははるかにヤバイんですから、人事じゃないですよ。
    エボラ疑い患者が来院したら、患者を門前払いしますか? あらかじめ想定していないと、テキサスの病院の様なことになります。
    また、患者を追っ払えば問題が解決するわけはないので、そういった場合、どうすればいいかの情報提供が必要になります。
    勉強されて、ご自分の足元をしっかり固められるのが、「自分のできる範囲」というやつだと思います。

    現地の状況について、ハフィントン・ポストに記事がありました。
    エボラ出血熱「防護服が適切に使われていない」 感染地帯のスペイン人医師が警告
    http://www.huffingtonpost.jp/jota-echevarraa/letter-from-a-spanish-ebola-expert-in-sierra-leone_b_5992486.html?utm_hp_ref=japan

    熱中症で死にそうな状況でマニュアルを徹底することがどんなに難しいか、想像してみてください。
    また、自分はマニュアルを順守できていても、誰かがミスをして汚染を持ち越しているかもしれません。そんな中で必死に戦っている人達の中に犠牲者が出ています。
    何もないニュートラルの状態でヒューマンエラーが出ているわけではありません。
    日本で同じ率でヒューンマンエラーが出るとしたら、それは医療者の怠慢です。
    また、現地で患者が出続けているのは、親族間など親しい人間を見捨てられないからでしょう。テキサスの患者も現地で発症した親族をタクシーで病院に連れて行ったせいで感染してますし、その親族の中でもさらに犠牲者が出ています。
    接触感染ですから、リンクをたどれば原因不明ではないが、現地にそれを追求する余力が無いだけで、エボラの流行は呪いや祟りではありませんし、陰謀でもありません。
    現地の状況をお知りになりたければ、ヨーロッパの報道にいろいろありますから探せばいいと思いますよ。西アフリカに近い分、あちらでは報道が豊富です。

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    1. >匿名2014年10月18日 22:57さん
      ありがとうございます。

      >ただP4施設ですが、現状P4として使えないというだけで、P3施設として運用されているはずですので、施設が止まった状態で全く使い物にならないということはあり得ません。

      これが事実なら安心できる話ですが……、「はず」というのは事実だと確認されたわけではないということでしょうか? それとも事実なのでしょうか?

      「いきなり検査すると言われたら反対する」というのは、今現在P4施設が使われていないことが前提です。ちょっと文脈がつかみにくかったと思いますが。もし仰るとおり、P4施設をP3として使っているのが事実であれば、少しは安心というものですが、施設の構造としてP4をP3として、しかもP4使用に準じた厳密さで使用しているなんてことがあるんでしょうか……? ちょっと考えにくいのですが。

      >テキサスの患者も現地で発症した親族をタクシーで病院に連れて行ったせいで感染してますし、その親族の中でもさらに犠牲者が出ています。

      これは男性患者の件なのかなと思うのですが、CDCでは10月18日時点で確定症例は3人(男性、看護師2人)と発表されていて、新たな犠牲者が出たという情報はないようです。経過観察措置に置かれることを精神的な犠牲者と考えれば、確かにそうですが。

      西アフリカの現地はともかくとして、スペイン、アメリカにおいても、ヒューマンエラーが起きています。日本で同様の感染が出た場合、それを医療者の怠慢と俺は言えません。ヒューマンエラーがあることを前提にして、そのエラーの衝撃を吸収できるようなシステムが大事で、「完璧・厳密に守れば大丈夫」なシステムがあるだけではダメだと思います。

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    2. 国立感染症研究所のP4施設の運用状況の資料を探してみました。


      霊長類フォーラム:人獣共通感染症(第177回)7/16/2007(日本獣医学会)
      人獣共通感染症との40年のかかわりを振り返る
      http://www.jsvetsci.jp/05_byouki/prion/pf177.html
      ここに国立感染症研究所のP4施設の設計から関わった経験談が書かれています。
      P3規格の施設の中にグローブボックスラインがありP4として実験できる方式の施設です。
      現時点、P3として運用しているというのは、グローブボックスラインを使わないで通常のP3施設として使ってるのか、このラインでP3対象の病原体を扱っているのか、実際を知らないんでこれ以上はなんとも言えません。

      「高度安全実験(BSL-4;バイオセーフティレベル4)施設を必要とする新興感染症対策」中間報告
      (総合科学技術会議:2008年)
      http://www8.cao.go.jp/cstp/project/bunyabetu2006/life/9kai/siryo2-1.pdf
      少しですが、感染研のP4施設の写真があります。

      感染症研究施設 理解得て運用実現めざせ(産経新聞)
      http://www.sankei.com/life/news/140421/lif1404210020-n1.html
       2ページ目に「感染研の施設はワンランク低いBSL3施設として使われてきたが、病原体が流出するような事故は一度も起きたことはない。」とあります。

      こんな感じです。
      P3やP4は実験室内を陰圧にするために常に空気を回していないと話になりませんから、P3として常に施設を使っているのは妥当な話です。


      リベリア帰りのDuncan(テキサス1例目)さんの親族が亡くなったという話ですが、私が読んだ記事がどれかわからなくなったので、あらためて検索してみました。「リベリア国内で妊婦のエボラ患者をタクシーで親族と一緒に病院に運んだ」という記事だったんですが、妊婦は親族ではなく隣人の娘さんだった様です。これは私の勘違いでした。下の記事は妊婦やその兄が亡くなったと書いてありますが、私が読んだ記事ではそれ以外の親族も無くなっていたと思います。探すのが面倒なんで、これは不確定ということでご了承ください。患者が出たというのはリベリア国内での、Duncanさん関連のその後の話です。
      'She was bleeding from the mouth and couldn't walk': Cab driver who ferried U.S. Ebola patient and sick pregnant woman he helped tells of fateful ride(2014.10.3 dailymail)
      http://www.dailymail.co.uk/news/article-2779433/She-bleeding-mouth-couldn-t-walk-Cab-driver-ferried-U-S-Ebola-patient-sick-pregnant-woman-helped-tells-fateful-ride.html


      ヒューマンエラーについてですが、なるべく避けたければ感染症の知識が無い職員は厳密にマニュアルに従わなければならない職務にはつけない配慮が必要だと思います。
      そうすると職務につける医師や看護師が非常に少ないのは承知しています。
      国家資格を持っていても、医師や看護師の対感染症の知識は限定的で、自分で学んでいかなければ最低限も満たせていない現状を知っています。
      プロ意識でなんとかしてほしいなーと思うんですが、まあ、あれこれ指示や情報提供が必要なこともわかりますので、各々の持ち場で最善を尽くしましょうとしか言えません。

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    3. >匿名2014年10月19日 12:38さん
      ありがとうございます。
      夏休み旅行中で、ようやく実家に帰ってPC環境に戻りました。ガラケーなもので、ツイッターでエボラ情報を見ていたんですが、あれこれ進展というか、社会問題というか、そういう事態になっているようですね、特にアメリカで。

      夏休み中に後輩小児科医と会って、エボラに関して少し話し合ったのですが、その中で、
      「俺たち医療従事者だからこそ知っている裏話というか、感染対策ってしっかりしているようで抜けていることとか、省いちゃているところとか、そういうの、ぶっちゃけあるじゃないですか」
      といった感じのことがありました。確かにそうなんですよね。全員が徹底的に院内感染対策を厳守しているということは、絶対にあり得ないというのが現実ですね……。指定医療機関だけは完全厳守していると信じたいところです。

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  4. 最近投稿したブログを参考までに下記にコピーしました。

     エボラ感染症の確定診断・治療支援のための検体検査をウイルス分離法によって行えば、ウイルスに感染する危険性があるので、緊急避難的に感染研村山庁舎の老朽化したBSL4施設稼働が必要となる。村山庁舎BSL4施設の安全キャビネットは検体検査に不便なグローブボックス型であり、ウイルス分離法はウイルス有無の測定に一週間以上掛かる。

    海外のエボラ感染症治療現場での検体検査は、ウイルスの遺伝子を迅速に検出するRT-PCR法によって行われている。RT-PCR法は、確定診断や退院決定に必要なウイルスの有無の測定だけでなく、治療・薬剤効果の判定に必要なウイルス量の増減も測定できる。
    RT-PCR法は、検体にタンパク質分解酵素を混入してウイルスのエンベロープ(膜)を分解して遺伝子を検出する。エンベロープの分解によってウイルスは不活性化され、感染の危険性が消滅するので、RT-PCR法はBSL2・BSL3施設で実施できる。

    村山庁舎での確定診断もBSL3施設でRT-PCR法などによって実施されているが、患者の収容病院で採取した検体は警視庁の厳重な監視下に置かれ、首都高・一般道を2台のパトカーで輸送される。検体採取時にタンパク質分解酵素を混入してウイルスの不活性化処理を行えば、検体は安全かつ簡便に輸送できる。
    BSL3施設は大学、独立行政法人、企業の研究所などが多数(全国で200以上)保有しているので、患者が収容された特定・第一種感染症指定医療機関に近いBSL3施設で(派遣)検査員がRT-PCR法による検体検査を行えば、検体の輸送時間が大幅に短縮され、確定診断や継続的治療支援が迅速に実施できる。国際医療研究センターに収容された患者の検体検査は、近くにある感染研戸山庁舎のBSL3施設でRT-PCR法により行うのが合理的である。

    日本で開発されたエボラ感染検査のための診断キットがアフリカの治療現場で使用され、RT-PCR法による確定診断結果と100%一致する精度が確認された。患者の収容病院で診断キットによる応急的感染検査を行えば、素早いパニック対策や二次感染対策が実施できる。

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    1. >匿名2015年6月19日 19:30さん
      ありがとうございます。
      まだまだ収束しなさそうですね。

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返事が遅くてすいません。