2016年11月10日

一流の神経内科医は、患者のどこを見て、何を学ぶのか 『ニュートンはなぜ人間嫌いになったのか 神経内科医が語る病と「生」のドラマ』


『ニュートンはなぜ人間嫌いになったのか』という邦題は、本書がニュートンの伝記なのかと思わせるものである。洋書では、原題と大幅に異なる邦題をつけられることがあり、そのせいで読者が大いに迷惑をこうむる場合もある。本書もそうなのかと思ったが、原題は『Newton’s Madness』。うむ、あまりに直球すぎである。副題の『神経内科医が語る病と「生」のドラマ』のほうが、まだ内容に即しているか。

神経内科疾患の臨床エピソードを語りながら、各疾患についての学習にもつなげようという内容で、医療系の学生であれば楽しく読みながら勉強になるだろう。また、医療の専門知識がなくても、基本事項から書いてあるので6-8割くらいは分かるだろう。それに、クローアンズ先生はアメリカで一定の評価を得ている小説家でもあるので、知的好奇心を満たす読書の楽しみを味わえると思う。

全部で22章あり、それぞれで取り上げられている疾患・症状は以下の通り(本書の記載順)。

脳梗塞による半側空間無視
ウィルソン病
水銀中毒
てんかん(複雑部分発作)
パーキンソン病
てんかん(若年ミオクロニーてんかん)
てんかん(自動症)
クロイツフェルト・ヤコブ病
群発性頭痛
書痙
進行麻痺(梅毒)
多発性硬化症
脳の老化
住血吸虫症
ハンチントン舞踏病
アカシジア
せん妄
神経芽腫
コカイン依存症(特にシャーロック・ホームズを症例として病跡学的アプローチで)
ウェルニッケ・コルサコフ症候群
片頭痛
失語・失認
進行性核上性麻痺

神経系に興味のある人にとっては、どれもワクワクするようなものばかりではなかろうか。お勧めの一冊である。

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