2018年12月6日

傷ついたり障害を背負ったりした四人の子どもたちが、回復への道をゆっくりと歩む姿に胸をうたれる 『よその子 見放された子どもたちの物語』


自閉症や分裂病の子どもに、もしうまくいけばの話だが、ついにわたしたちの気持ちが届き、彼らが相手とふつうの関係が結べるようになったときには、彼らに備わっていた美しさが多少失われてしまっているのだ。まるでわたしたちが彼らを汚しでもしたかのように。
7歳の少年ブー、同じく7歳の少女ロリ、10歳の少年トマソ、12歳の少女クローディアと、補習教室の教員である著者トリイとの触れ合いを描いたノンフィクション。

ブーは自閉症で、突飛な行動を繰り返す。ロリは虐待の後遺症か先天的かは分からないが、書字・読字に著しい障害を抱えている。トマソは非常に粗暴な少年で、彼が5歳のとき、母が父と兄を射殺してしまった。クローディアは、なんと妊婦である。

泣いたり笑ったり怒ったりを繰り返し、彼らはくっつき、離れ、そしてさらに強固に結ばれていく。読みながら、切なさに何度となく涙腺がゆるみ、ときには暖かい気持ちになって微笑み、そして強く胸をうたれて、やはり泣いた。

今年読んだ本のなかでベスト10に入る名著である。

0 件のコメント:

コメントを投稿

コメントへの返信を一時中止しています。
一部エントリでコメント欄に素晴らしいご意見をいただいており、閲覧者の参考にもなると思われるため、コメント欄そのものは残しております。
また、いただいたコメントはすべて読んでおります。