2018年6月19日
もっともっと観たかった…… 『ゆめいらんかね やしきたかじん伝』
平成26年1月6日に亡くなった関西の視聴率男やしきたかじん。彼の生い立ちから亡くなった後までを丁寧に、そして柔らかく優しく描いたノンフィクションである。
たかじんのことは経済学部の学生時代に友人から、
「夜中にやっているたかじんのバーが面白いぞ」
と言われて知った。確かに話術が面白く、その勢いでたかじんの著書も読んだ。ただ、『たかじんnoば~』は毎回ゲストを呼んでのトーク番組で、あまり知らない人たちが入れ替わり立ち替わりするので、あまり入り込めなかった。
その後しばらく、彼をテレビで観ることはなかった(というか、テレビ自体をあまり観なかった)。『そこまで言って委員会』で久しぶりにたかじんを観て、面白かったので録画してでも観るようになった。ところが、病休したかと思ったら、あっさりと他界してしまった。
この本で初めて、実はたかじんが在日韓国人2世だったことを知った。あそこまで右寄りで嫌韓な番組の司会者をやっていたのに、まさか自らがいわゆる「在日」だったとは……。本書でも何回か触れてあるが、彼は自らの出自に非常に大きなコンプレックスがあったらしい。そうだったのか……。なんだか複雑な気持ちになってしまう。
テレビでのたかじんは、歯に衣着せぬ物言いをしながらも、対立する意見をうまくまとめ、揉めているのを丸くおさめるなど、素晴らしく人格者のように見えたのだが、実際には好き嫌いが激しく、我が強く、ワガママで、裏表があり、粗暴で、自分が王様で……、かと思えば寂しがり屋で、ナイーブで……、とても人間くさい人だったようだ。
読み終えて、あぁ、もっとたかじんの番組を観ておけば良かったなぁ、と思った。
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