相手が患者で、幻覚妄想での興奮状態にある場合には、こちらの人数は多ければ多いほど良い。驚かれるかもしれないが、10人くらいでも良いくらいだ。大人数という光景で圧倒してしまえば、それだけで鎮まることも多い。
相手が女性患者でも、患者とスタッフが双方とも無事に抑えるためには、医師を含めて最低5人は欲しい。男性患者なら、スタッフ6人はいると安心できる。4人だと、患者・スタッフのうち誰かがケガするリスクを覚悟する。患者にはなるべくケガをさせないようにするので、ケガのリスクの多くはスタッフ側が引き受けざるをえない。本気で暴れている患者をスタッフ3人で、しかもなるべくケガをさせずに抑えるには、こちら側が何らかの痛手を負う覚悟が必要だ。
相手にケガをさせないことが大前提で、かつ自分たちの安全にも配慮が必要というのが難しい。警官が凶悪犯罪者を取り抑えるときのように、相手が多少ケガしてもやむなしという場合なら、もうちょっと少ない人数で済むかもしれないが、精神科で患者を抑えるときにケガをさせたら大問題になる。そういうわけで、興奮している患者がいるときには、とにかく人数集めが最重要となる。
ところが、これがなかなか世間的には知られていない。大人数で患者を取り囲んで抑える光景は、はたから見ればリンチのように見えるのかもしれない。実際には、上記したように、スタッフの数が多ければ多いほど患者はケガをしない。
ほとんどが女性スタッフの当院では、なんとか言葉と雰囲気だけで四苦八苦して患者をなだめることが多い。時間はもの凄くかかるし、殴られる危険性は大いにあるし、その時の防御の過程で患者にケガをさせることもありうる。自分自身がヒヤッとしたことがあるし、殴られたスタッフは何人もいる。
平和に見える病棟でも、実はみんな危険と背中合わせなのだ。
そう言えば、福祉施設に勤める友人は、メガネを飛ばされたと言ってたなあ。
返信削除>shishitou43さん
返信削除うちに患者を連れてくる施設の人は、メガネを折られていました……。
あと、噛みつかれたり……。