このブログの著者の言動に問題があることは確かだろう。だからといって、そのことが、
『匿名ブログから著者の身元を突き止め、徹底的に追い詰めることは正義である』
ということにはならないはずだ。
一般人が憤って、あるいは面白おかしく炎上に乗っかっる分にはまだ良いだろう。しかし、言論媒体であるはずの新聞が、匿名ブログから身元を突き止められて職場で懲戒処分まで受けてしまうことの異常さを指摘せず、それどころか炎上する世間に追従するような記事を書くことのほうが問題だ。こういうキャリア官僚がいることは確かに嘆かわしいし腹立たしいし怖くもあるが、新聞が無思慮に世論迎合するほうがもっと恐ろしい。
ブログが公務時間に書かれていたのなら、そのことは責められるべきだろうが、もしそうでないとしたら、著者は自分の時間をつかって私人として、しかも匿名で書いていたブログの内容で公的に懲戒処分を受けたわけだ。このことの異常さにメディアが気づいていないのだとしたら、この国の言論というものの行く末は儚い。
経産キャリア:ブログに暴言、炎上 停職2カ月の懲戒処分
毎日新聞 2013年09月26日
経済産業省の男性キャリア官僚(51)が匿名ブログに、東日本大震災に関連して「復興は不要だ、と正論を言わない政治家は死ねばいいのに」などと書き込んでいたことがわかった。同省は26日付でこの官僚を停職2カ月の懲戒処分にした。
問題の書き込みは2011年9月25日付。被災した三陸海岸沿岸は「ほぼ滅んでいる過疎地」で、高齢者が既得権を主張するため復興費用の負担が日本中に回されているという趣旨の書き込みをし、政治は「綺麗ごとばかり」と主張していた。書き込みはネット上で次々と転載され、厳しい批判を浴びていた。
この官僚は経産省や防衛省で課長を歴任し、今年6月末から日本貿易振興機構(ジェトロ)に出向。15年のイタリア・ミラノ国際博覧会の日本政府代表も務めていた。ジェトロによると、今月25日に不適切な書き込みをしたことを認め、ジェトロを辞めたという。
今年6月にも総務省から復興庁に出向して福島県の被災者支援を担当していた参事官が、ツイッターで市民団体や国会議員を「左翼のクソども」などと中傷していたことが表面化。停職30日の懲戒処分を受け、出向元の総務省に異動になった。【松田真】
http://mainichi.jp/select/news/20130926k0000e040194000c.html
0 件のコメント:
コメントを投稿
コメントへの返信を一時中止しています。
一部エントリでコメント欄に素晴らしいご意見をいただいており、閲覧者の参考にもなると思われるため、コメント欄そのものは残しております。
また、いただいたコメントはすべて読んでおります。