不眠治療では、薬を処方する前に患者がやるべきことがいくつかある。ただ、初診でそれらすべてを伝えても患者は覚えきれない。そこで、生活習慣の改善を3大鉄則として患者に勧めてきた。
1.毎朝、土日や休日も含めて決められた時間に起きる。
これは、前夜に寝つけずに夜更かししても、あるいは徹夜をしても関係なく、とにかく朝は決められた時間に起きる、ということ。
2.昼寝をしない。
「夜眠れなかったから昼寝しよう」はダメ。昼寝をするから夜眠れなくなる。だいたい、昼寝で1時間とか2時間とか、ひどい場合だと3時間以上とか、それだけ寝たら、夜は眠れなくて当然である。
3.眠れないからとベッドの中でウダウダせず、30分眠れなかったら布団から出る。
携帯でネットしたり、本を読んだり、テレビを観たりせず、眠れないなら布団から出て眠くなるまで何かして過ごす。
診察室では、夜眠れない、昼寝もできないという不眠症の人は意外に少ない。たいがいの不眠は「昼夜逆転」で、本人もうっすらそれに気づいている。そして、その眠れなさを薬でてっとり早く治そうと考えて精神科に来る。そんな生活習慣の乱れた人が、いきなりこの3つを言われても実践できそうにない。
そこで、最近はどれか一つ、やれそうだと思うものを選んでもらう形式にトライしている。それでも、なかなか期待通りにうまくはいかないけれど……。
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