2014年1月17日

HTLV-1関連ミエロパチーにビタミンB1が著効したケース

HTLV-1関連ミエロパチー(略称HAM)という病気がある。HTLV-1とは、主に母乳を介して感染するウイルスで、HAMはキャリアの2%程度に起こると言われる慢性の脊髄炎である。多くは中年以降に、歩行障害か排尿障害(頻尿、排尿困難)で発症する。運動障害、排尿障害の他に、足底のジンジン感などの感覚鈍麻があり、これは徐々に体の上の方まで進行することがある。

さて、ここからは症例の話である。ある初老患者が徐々に歩けなくなり、採血や髄液検査の結果、このHAMであると診断された。ついに家の中でも這って移動する状態となって施設に入所した。感覚異常は上肢にも広がり、この数年間は会うたびに「手が痛い、痺れる」と訴えていた。

そんなある日、ネットを見ているとHAMに対してビタミンB1が治療効果を持つことが分かったというニュースがあった。ビタミンB1なら飲んで副作用が出ることもないだろうし、ものは試しということでノイロビタンというビタミン薬を処方してみた。これはビタミンB1、B2、B6、B12の合剤で、本当はビタミンB1だけを含むアリナミン(市販のアリナミンとは大違いなので注意)という薬でよかったのだが、残念ながら当院での採用はなかった。

それから2ヶ月後、なんと患者は施設で立って着替えることができるようになり、手の痺れや痛みの訴えもピタリとやんだ。これには非常に驚いた。まさにビタミンB1が著効した症例である。

<参考>
神経難病HAMの新しい治療法としてのプロスルチアミン療法

13 件のコメント:

  1. いちは様

    はじめまして。この記事についてご相談させていただきます。

    私の母が、HAMを患って十数年になります。根本的な治療薬がない中、歩行障害、排尿障害を改善したいと、いろいろな方法を試してきたのですが、効果が上がらず、ネットで情報収集する中で、貴情報を見つけました。

    だんだん、杖から、家の中では、はって動くことも増えてきています。

    (ステロイドやインターフェロンも行いましたが、効果が上がらなかったので、他の方法を探しています)

    ノイロビタンが効果があったとのことですが、これは、どこの病院でも処方されているものですか?

    アリナミンの処方を受けた知人がいるのですが、効果が上がっていないので、ノイロビタンのほうが、可能性があるかと思いお聞きします。

    よろしくお願いいたします。

    さくら

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    1. >さくらさん
      添付文書上は、アリナミンのほうがビタミンB1の含有量が多いので、B1だけに限ればアリナミンのほうが良いのではないかと思います。ただ、B1以外のビタミンB群がノイロビタンには含まれていて、それももしかしたら何かの役に立ったのかもしれません。これはまったくの推測ですので、科学的根拠はありませんが。
      ノイロビタンはどこにでも置いてあります。もし親しい医師がいらっしゃるなら、あるいはかかりつけ医と懇意なら、試しに出して欲しいとお願いしても良いかもしれません。
      ビタミン類はドラッグストアにもサプリで置いてあることが多いですが、含有量と値段はぜんぜん違います。無闇に処方するのは医療費の無駄遣いになりますが、HAMがあられるのならば、決して責められない処方ではないかと考えます。

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    2. いちは様

      詳しく教えていただき、どうもありがとうございました。
      よくわかりました。
      お医者様に相談してみます。

      本当にどうもありがとうございました。

      さくら

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    3. たびたび恐れ入ります。
      お聞きし忘れてしまいました。
      参考にお聞きしたいのですが、効果があった方は、
      ノイロビタンを1日どのくらいの量を二ヶ月飲まれましたか?
      よろしくお願いいたします。

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    4. >さくらさん
      添付文書から逸脱はしなかったはずなので、毎食後の1錠ずつだったかと思います。
      この方は著効したのですが、別の方の痺れの訴えに出したアリナミンFはほとんど効きませんでした。個人差があるのかもしれません。
      また著効した方に関しても、この日記から3年経った今は、残念ながら車イスがメインとなっています。

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    5. いちは様

      詳細を教えていただき、どうもありがとうございました。

      わたしの知り合いのドクターも、アリナミンFを出したが、効かなかったとおっしゃっていました。

      車いすになってしまったのは、残念でしたね。。。
      でも、HAMの情報が少ない中、貴重な情報でした。
      どうもありがとうございました。

      ネットで、生はちみつにシナモンを混ぜて取ると、相当な免疫力効果があるという記事を見て、それも試そうと思っています。

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    6. >匿名 2017年3月11日 21:10さん
      効く効かないの判断は難しいところで、この記事の人のように著効する人は分かりやすいのですが、外から見ても分からないけれど自覚症状がやわらいだ、という場合もあります。
      あとは進行の程度とか、もともとの栄養状態とか。

      仕事がら、多くはないもののHAMに関わることがあるので、良い治療法が見つかることを期待しています。

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    7. いちはさま

      ノイロビタンを先生にご相談してみようと思っています。
      自覚症状が和らぐなど、何かよい変化があることを願いつつ、注意深く、母の変化をみていこうと思います。
      HAMに関わることがおありとのこと、本当に、良い治療法が見つかりますように。

      どうもありがとうございます。

      かしこ
      さくら

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    8. >さくらさん
      少しでもお役に立てることをお祈りします。

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    9. いちはさま

      こんにちは。
      先日はHAMの母について、ご相談にのっていただき、どうもありがとうございました。

      その後、主治医の先生にご相談し、ノイロビタンを扱っていない病院ということで、先生に、「ビタメジン 配合カプセルB50」というのが処方されました。
      今、約一か月ほどですが、母が、クスリを飲んでいるから、もしかしでできるかも、と思い立ったそうで、杖なしで、よたよたとですが、両足で数メートルだけ歩けたことがあり、喜んでいました。

      根本解決はしていませんが、三か月続けることになっています。
      気のせいの部分もあるかもしれませんが、何かしらの試みを、続けて、試していきたいと思っています。

      さくら

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    10. >さくらさん
      こちらこそ、ご報告ありがとうございます。
      多くの薬が、実はプラセボ効果の寄与が大きいのではないかと思っているところです。だからお母さまが、「クスリを飲んでいるから、もしかしでできるかも」と思い立たれたことが、つまり薬の大切な効果なのかもしれません。
      そして、決して気のせいではありませんよ。

      慢性難病はご家族も大変です。
      このブログでは時どきバカ話も書いていますので、たまに息抜きされてください。

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    11. いちは様

      温かいお言葉、ありがとうございます。
      残念ながらあまり、その薬は効かなかったので、めげずに、主治医の先生に
      ご相談する予定にしています。
      たまに、ブログを拝見して、息抜きもさせていただいています(笑)
      ブログ、どうもありがとうございます。


      さくら

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    12. >さくらさん
      そうでしたか。
      でも、医療は日進月歩です。主治医の先生にも相談し続ければ、先生もきっと新しい知見に目を光らせるでしょうから、「相談」は大切だと思います。
      今後もブログをよろしくお願いします!(^.^)

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