「天才」という言葉にふさわしい神経科医であるオリヴァー・サックスが、自ら登山中に転落して左足に受けた障害から立ち直るまでを描いたもの。時に詩的な、時に臨床医学的な、さまざまな言葉を使いながら、日記のような考察のような、そんな一冊を織りなしていく。
サックス先生は、自らが入院することで、「患者になる」とはどういうことかを書いている。それは「体系的に個人化されることなのだ」とサックス先生は言う。この本は1983年頃に書かれているようだが、それから30年以上がたった今、医療はどのようなものになっているだろうか。幸か不幸か、自らが大病をしたことがない俺にとっては判断のしようがないが、サックス先生が入院した当時よりは良い医療を提供していると思いたい。
左足に大けがをしたサックス先生は、その「左足が自分のものでない」ような奇妙な感覚に悩まされる。そういえば、俺も19歳の時に右の人差し指を骨折したことがあった。その時には、その人差し指が自分のものではないような感じがする、ということはなかったが、違和感があったのは確かだった。そういう違和感を深く考察する若者であれば、今の俺はもう少し違ったところにいるのかもしれない。
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