2016年4月4日

患者・家族が読んでも非常に分かりやすい専門書 『「てんかん」のことがよくわかる本』


「患者向けの本みたいだし、あまりに情報が少なかったら買い損だなぁ……」

正直そんな不安を抱きながらも、その時には患者教育用として使えば良いかと考えて購入。

ところが、そんな不安など取り越し苦労に過ぎなかった。これは、患者・家族向けの本というよりは、患者・家族が読んでも非常に分かりやすい専門書というほうがピッタリくる。てんかん専門ではない医師にとって、まさに「痒いところに手が届いている」本である。発作の種類や前兆について、ここまで分かりやすく書かれれば確実に理解できる。元看護師の妻、医療関係の資格を持たない医療事務にも見せたが、二人とも「これ分かりやすい!」という反応であった。

だから、日常業務に忙しく、「てんかんを学ぶ」ことに手がまわらないという医療従事者にこそ手にとって読んで欲しい。そこから、てんかん治療や看護への興味・関心が強くなれば、もう少し詳しい本に手を伸ばしてみる。その際にお勧めなのが、本書監修をされている中里教授の『ねころんで読めるてんかん診療』である。きっと、てんかん診療への構えが大きく変わだろう。

さて、てんかんの女子高生を3ヶ月ほど入院させた。
「てんかんで3ヶ月も入院!?」
と驚く人もいるだろうが、てんかん以外にも彼女自身と親と学校との間に諸事情・諸問題があって、不本意ながらも長期入院になってしまった。でもそのおかげで、いつもよりてんかんのことを学ぶ機会が増えて、知識も経験も少しだけ身についた。

てんかんについても、その他のことについても、学びたいことは多いのに、時間は限られている。

患者も医師も、人生とはなかなか難しい。

<関連>
「てんかん診療には自信がありません!」と、自信を持って言えるようになる不思議な本 『ねころんで読めるてんかん診療::発作ゼロ・副作用ゼロ・不安ゼロ!』

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