精神科と神経内科では、患者さんの訴えが重なることが多々ある。そして、神経内科疾患の人がいきなり精神科に来ることもありえる。そういうときに、精神科医が神経疾患をまったく念頭におかず、精神科的なみかただけで対応してしまったら、その患者さんは大いに不利益を被ることになる(だから通常は先に内科を受診してもらう)。そんなイヤな事態にはなりたくないので、神経内科についても勉強が必要だ。
本書は、神経内科の専門分野についてかなり忘れてしまっている精神科医でも、充分に理解しながら通読できる優れた教科書であった。
タイトルに「みるトレ」とあるように、症例写真が豊富で非常に参考になった。ただし、各疾患の症状の根拠となる神経解剖を概説する図は一切ないので、神経解剖の簡単な本が手もとにあると理解がよりスムーズで、記憶に定着しやすいだろう。改訂版では付録に簡単な図があると良い気もするが、そもそもこういう本を読もうとする人なら、すでに手もとに1冊くらいは神経解剖の本を持っているかな……。
専門医ではなく、一般医師向けに書かれていて、深すぎず、かといって浅すぎることもない。精神科医を含め、神経疾患のスクリーニングを求められる人たちにはぜひ勧めたい本。
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