森達也が童話や子ども向け番組を題材にマスコミ論のようなものを語るのだが、ところどころ挿入されるギャグに思わず笑ってしまう、これまでの森の印象とは大きく違う本。特に仮面ライダーの項では吹き出して、テレビに見はまっていた妻がこちらを振り返るレベルだった。
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見える人
本書を読む前に、俺が『裸の王様』をモチーフとして描いた小説。
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本書を読む前に、俺が『裸の王様』をモチーフとして描いた小説。
愕然としたのは、反省と言う単語を口に出した時の反応で、ほとんどの人が「変なことを聞く人だ」という表情で私を見ました。
「反省って、事件のでしょう?」
「うん」
「そうだなぁ、やっぱり指紋を残しちゃまずいですよね。あとは、共犯に口の軽いのはダメですね。今回は勉強になりました」
(中略)
一緒にテレビのニュースを見ていると、事件報道がありますが、その際には自分たちの犯行を面白おかしく披露するのは、よくあることでした。
「向かってくるから刺しちゃったよ」
「黙って言うとおりにしてりゃ殺されなくて済んだのに」
「ひいひい言ってやがんだ。助けてくれって言ったって、こっちだってパクられたくないから助ける訳ないじゃん、バカな奴」
「あんな所にいやがって、おかげでこっちはこんな所だ、チクショーめ!」
こんな言葉が洪水のように溢れてきます。
「単に自分が服役したくないから殺してしまったわけだけど、それについてどう考えてるの?」
「うーん、ま、悪いかなと思ってます」
「それだけ?」
「へっ!? それだけとは?」
被害者に対しての気持ちはほとんどありません。ここでは珍しいことではなく、むしろ普通と言えるでしょう。
今回の事件は、深夜人の居住している住宅に盗みに入ったものの、何も目ぼしい物がなく、その腹いせに人が寝ているのを知りながら放火をして4人を焼死させたというものです。
もちろん端から人が寝ているのを知りながら放火したと言えば極刑は免れません。彼は徹頭徹尾「知らなかった」と警察でも裁判でも頑張り、裁判ではその風貌を十分に生かしてしおらしく振る舞い、無期の求刑だったのに有期刑を勝ち取った歴戦の猛者です。
(中略)
「僕は仕事で入った訳です。でも大した物もなく無駄な仕事をさせられました。それが、まぁ……恨みというか腹が立ったんですね。こっちはそれなりの手間をかけて入ったのに何もなく、むこうはグーグー寝ているという状況に無性に腹が立ってきて……。ま、それでやっちゃったんですね」
「あんな所にいやがるから殺されたんだ。まったくざまあみろだ。だけどそれでこっちは無期だぜ。ちっくしょうめ」
こういう言い方に同調して、俺の時もそうだったと話し始める人も少なくありません。
「いい恰好するから殺られるんだ」
「正義の味方ぶりやがって」
「黙って金を出せばよかったんだ」
「勘違いして向かってきやがって」
テレビや新聞のニュースで強盗犯が捕まったのを知ると必ず、「けっ、殺っちまえばよかったのによ。ドジな奴だ」と毒づきます。
「マスターベーションをしたらどうですかと、バイブレーターのカタログを見せた。そうしたら、『私は膣にモノを突っ込みたいんじゃないんです!』と怒られましてね」のっけからこんな感じなのだから、あとは推して知るべし、ではあるが、もう少し引用を重ねよう。
「長い間セックスレスでいた女性は、夫から『女として最低』というレッテルを貼り続けられたようなもの。女性としての自信がなくなっているんです」とキムは言う。
キムいわく、男の人格と教養とペニスは、いずれも歯を磨くように毎日自分で磨かなければならない。人格だけでも教養だけでも、男は磨かれない。
「男の下半身は人格です。人格のない男はちんちんもだめ。人格なきちんちんはただの棒です。海綿体です」と、キムは笑う。
セックスは食べ物とよく似ていて、ジャンクフードが好きな人も、グルメの人も、小食の人もいるように好みや必要な量は人それぞれ。パートナーの好みとあまりに違い過ぎれば生活しづらい点も同じだ。最後に、知る人ぞ知るアダム徳永にも取材してあり、例え話が上手かったので引用。
「キスして、おっぱいなめて、クリトリスを愛撫するのが普通だと思うでしょ? でもそれは違う。女性は全身が性感帯で、ゆっくりと快感のレベルを高めていけばもっともっと深く感じるようになる。37℃の温泉なんて普通ならぬるいと思うが、北極にもっていけば熱湯のように熱く感じる。同じ温度でも状況によって感じ方は違う。それと同じです。のっけから乳首やクリトリスを刺激するのは、上品な日本食のコースで、キムチの山盛りを前菜に出すようなもの。そこで快感の上限が来てしまう」<関連>