2015年8月18日

子どもが高校生になったら読ませたい 『未来を発明するためにいまできること スタンフォード大学 集中講義II 』


目からウロコ、という表現がある。本書を読むことで目からウロコがとれるわけではないが、視力に合ったメガネを手に入れた気分にはなる。というのも、本書は思い込みを取っ払ったり既成概念をひっくり返したりという類いのものではなく、誰でも身につけることができる思考の「技術」を教えてくれるからだ。

例えば名札についての話。もっと良い名札を考案できないかと学生たちに提案する。名前だけでなく出身地、趣味などが書いてあるようなのはどうだろう。他には? どうしてネームプレートにする必要がある? そうか、だったらTシャツに顔写真や名前などをプリントしても良いじゃん。といった具合にアイデアをどんどんと出させる。

分量は多くないが値段はやや高め。それでも読んで良かったと思う。我が子が高校生くらいになったら読ませたい一冊。

2015年8月11日

スマン、ご主人。 『やってみたら、こうだった 人妻風俗編』


スマン、ご主人。

随所に出てくるこの一行に、思わずプッと吹き出してしまう(妻を持つ身としては笑ってばかりもいられないのだが……)。

人妻ホテトル(ホテルに呼び出して本番の性行為をする)を実際に体験し、取材した13人分の話がおさめられている。筆致は軽妙で、女性らの発言や自らの行為に対する心のツッコミ、その他の感想も冴えている。たとえば、きれいな人妻ホテトルと話していて、
「こんなきれいな女性に何人もの男が乗っかったのかと考えると、憤慨してしまう」
同じ男として何となくよく分かる、そんな素直な感想に思わずニヤリとしてしまう。

この著者、なかなか良いゾ。

2015年8月10日

安保法案にまつわるニュースが多いので、そのからみで視点をかえて民間軍事会社に関するルポを読んでみてはどうでしょうか? 『戦場の掟』


安保法案にまつわるニュースが多いので、そのからみで視点をかえてPMC(Private Military Company 民間軍事会社)のことを読んでみようと思った。本書はイラクで活動するPMCに迫ったルポで、同国に展開するアメリカ軍をはじめとする多国籍軍との関係なども分かる。

その中で驚くのは、PMCが正規軍の警護もしているということだ。一体どういうことだと思ったが、本書を読んでみるとギスギスした現実が見えてくる。正規軍に被害者が出ると正式な数字として発表されるが、PMCの被害者は表に出にくい。イラクでPMCのアメリカ人が何人も殺されるような戦闘が繰り広げられていても、アメリカ本土の人たちはそのことを知らず、「米軍の被害がこれくらいで済んでいるのだから、きっとイラクでの活動はうまくいっているのだろう」と思う。政府は正規軍に被害が出ると困るから、PMCに多額の金を出して警護させるのだ。

正規軍の給与が月額日本円で30万円くらいなのに対し、PMCの傭兵の給与は70万円から80万円以上。そんな大金を国家が負担して雇っているのだから、このねじれた構造には皮肉な笑いさえ漏れてしまう。ちなみに、PMCの傭兵の給与は当初は月額数百万円だったようだが、しばらくすると戦争に参加したい民間人(退役軍人含む)は無尽蔵にいることが分かり値下がりしていったそうだ。今や、各企業としても傭兵より装甲車両のほうが遙かに高価で失うと痛いという様相である。

日本が、理由はどうあれ自衛隊を海外展開する場合にも、このPMCにはかなり依存すること必至である。安保法案に賛成の人も反対の人も、知っておいて損はない事実と現実が書いてある。

2015年8月9日

くだらないクレームにディズニー謝るなよ……

こういうことに食いつくのは、沖縄県民でもないくせに「ヘノコハンターイ!」とか言っている連中と同レベルなんだよ。

だいたいね、まず、原爆の直接被爆者はディズニー公式のツイッターなんて見ないの、ていうか、ツイッターやっている人が少ないわけ。こんなこと言い出したら、このツイートを出せる日なんて一日もないんじゃないの? 

俺の義祖父母は被爆一世で、死ぬまで聡明だった義祖父は数年前に他界して、生きている義祖母も未だボケていないが、このツイートを見せても恐らく何も思わないだろう。義祖父が生きていたとしても、きっと問題視しない。むしろ、こんなくだらないことにワーワー言っている世代を心配すると思う。

妻は被爆3世ということになるし、娘らは被爆4世、俺は被爆4世の父ということになるんだけど、ディズニー公式ツイッターのこんなことに食いつく奴らの頭の中のほうがよほど怖いよ。

で、ディズニーも謝ってんじゃねぇよ。そもそも、

「なんでもない日おめでとう」

これってすごく素敵な言葉じゃないの? 敢えて原爆記念日に呟くだけの価値がある言葉だと思うんだけど。

それに、

「なんでもない日おめでとう」

被爆犠牲者の本当の気持ちは分かりようがないけれど、いまの平和な日本人に向けて、こう思っている人は決して少なくないと思うよ。

<参考>
ディズニー公式が「なんでもない日おめでとう」を謝罪 「不適切な表現がありました」


※くだらないニュースすぎて、休日だけれど臨時更新。

2015年8月7日

読んで良かった。心からそう思う「文章を書くための本」 『いますぐ書け、の文章法』


読んで良かった。心からそう思う。

これは「文章を書くための本」である。

著者の最大の主張は、
「文章を書く人は、読み手の気持ちになれ」
というもの。このブログも自分なりに読者視点に気をつけて書いてきたつもりだったが、本書を読んで意識も心がけもまったく足りなかったと気づかされた。

ところで本書は、「これから何か書こう」と思っている人が手始めにと読んでも、きっとあまり役に立たない。そういう人は「書くこと」に対する意識のハードルが高いので、作者の「書くこと」に関する考えにはついていけない、あるいは反発するだろう。

本書は、今すでに何か書いているが、どうにも読み手のハートをつかみきれないと悩んでいる俺みたいなアマチュア・ライターこそが読むべき本である。

さぁ書き手の皆さん、買って読みましょう。