2019年3月11日

ウイルスによる人類滅亡を描く 『復活の日』


ウイルスによる人類滅亡を描く、いわゆる「終末世界」もの。

舞台設定が1960年代で、社会情勢などやや古くさい点があるものの、人のこころの動きは50年経ったくらいで大きく変わることはなく、いま読んでも充分に真に迫る内容であった。

メインとなる登場人物はいるにはいるのだが、それぞれの描写はそう多くなく、感情移入することはあまりない。ではつまらないかというとそんなことはなく、個々の登場人物よりも状況に重きを置いて綿密に描いてあるので、世界滅亡のさなかに自分がいるかのような絶望的な感覚になれる。そんな少し独特な持ち味のある小説であった。

2019年3月8日

絶対にネタバレしたくない! コンパクトな名作『プリデスティネーション』


ネタバレ許すまじ。

ここまでの内容を、よくまぁ90分程度にうまく収めたものだと感心した。最近の映画は長いものが多いし、本作もやろうと思えば、もう少し丁寧な説明描写を加えて120分から150分の映画にすることもできただろう。

それを敢えてこのコンパクトさにしたことで、話の展開が速くなる。省略された説明は、観客が自分の頭で考えて補わないといけない。その思考がついていけるか振りきられるか、そんな絶妙なラインを突いてきている。

物語の核となる二人(イーサン・ホークとサラ・スヌーク)の演技が素晴らしく、仮にネタバレしたとしても、彼らの演技を観るだけでも価値はあるだろう。どちらも初めて観る役者だったが、特にサラの演技にはこころ惹き込まれるものがあった。

とはいえ、やはり中身を知らずに観るのが絶対に良い。

俺の中では、名作として記憶にとどめたい作品。

2019年3月5日

自分にはまだ遠い話、だと思いたい 『死のメンタルヘルス 最期に向けての対話』


石川文洋(戦場カメラマン)、香山リカ(精神科医)、椎名誠(作家)、臺弘(100歳現役の精神科医であり著者の恩師)、末期がん看護師との対談がメインの本。これまで何冊も著者の本を読んできたが、他書に比べれたやや精彩を欠いている印象。しかし、それはもしかすると、まだ自分が43歳で死を「本格的に意識する」ことがないからかもしれない。20年後、30年後、40年後に読めば、また違う感想になるのだろうか。

2019年3月4日

ダサいSF 『マイノリティリポート』


SFは映画も小説もマンガも、「ありえるか、ありえないか」のギリギリ、あるいは思いきって「ありえない」ほうに振りきれるほうが面白いのに、この映画は中途半端でなんともダサい。そして、そのダサさでもって2時間半も引っ張られるのだからたまらない。

CG全盛の時代。映像は製作者がどう頑張って派手にしても、それで観客が驚くことはない。だからこそストーリーに期待するのだが、これはちょっと……残念だった。1時間半くらいのコンパクトなものにしていれば、もう少しマシだったかもしれない。

と書いてみて、人によっては「名作!」「感動した!」と評価するスピルバーグの『A.I. Artificial Intelligence』を思い出した。これもワクワクしながら観始めたのに、ダラダラと2時間半も引きずられて辟易したのだった。

星1.5。0.5のぶんは、トム・クルーズが好きだから。

2019年3月1日

一読の価値あるマンガ。ただし…… 『本当の依存症の話をしよう ラットパークと薬物戦争』


「はじめに」「おわりに」を含めて104ページの本のうち、68ページが海外作家によるマンガである。
あとは松本俊彦先生と小原圭司先生によるちょっとした解説。

マンガはシンプルながら、どこかこころに訴えかけるものがあり、特に依存症に詳しくない人や「依存症のことなんか勉強するまでもなく分かってるわぃ」というような人には一読の価値がある。

ただ、本の分量にすれば、ちょっと値段が高く感じる。