2011年12月4日

うつ病とは「気になる病」であり、躁病は「気にならない病」である

精神科の教科書でうつ病を調べると、ありとあらゆる症状が書いてある。頭痛、腰痛、肩こり、体の節々の痛み、食欲不振や胃の痛み、下痢や便秘などの胃腸症状、発汗、息苦しさなどもうつ病の症状として書いてある。しかし、うつ病になったからこれらの症状が出る、というわけではない。うつ病になると、それまで気にならなかったことが気になって頭から離れなくなり、それが訴えとして出てくる。そんな風に考える方が、より真実に近い。そもそも、上に書いた症状は、誰もが多かれ少なかれ持っているんじゃないだろうか。それがうつ病になると、ある人は頭痛が、別の人は肩こりが、また別の人は胃痛が気になる。だから、うつ病の身体症状は多彩なのだろう。

躁病はどうだろうか。こちらもやはり多彩である。うつ病は些細なことが気になる病気、躁病は細部が気にならなくなる病気である。だから、躁病の人は化粧をしなくても平気になったり(スッピンで離婚の記者会見をした女性芸能人は躁状態だったと思う)、逆に他人からどう見られるかを考えないままにどぎつい化粧をしたりする。化粧という側面だけで見れば正反対の事象も、「気にならない」という部分に着目すれば同じ症状だと分かる。また、「異性関係が淫らになる」ことや「話題がコロコロと変わる」ことなど、色々な症状を説明できる。「異性関係が淫らになった後のことを気にしなくなる」「これまで話していた内容を急に変えることを気にしなくなる」という感じ。

教科書や診断基準を見ながら、患者の症状を当てはめていく、あるいは症状一つ一つを患者に確認していく、というのは決して間違いではないだろうが、それだけに頼るともっと本質的な部分を見落としそうだ。

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