2013年6月11日

裁判官はなぜ誤るのか

中学から高校にかけて、将来の夢は弁護士だった。

14歳のある時、なぜかふと「弁護士」という言葉が頭に浮かび、自分が将来目指すものとして正しいような気がして、学校の先生に聞いてまわった。
「先生、弁護士って、どんなことをする職業ですか?」
答えてくれた先生はいなかった。

それからしばらくして、高嶋政伸が新米弁護士を演じる『都会の森』というテレビドラマが始まった。毎回、食い入るようにして観ることで、裁判所、裁判官、検事、弁護士というものの役割や関係性を中学生なりに感じ取った。そして思った。

「俺がなるのは、やっぱり弁護士だ」

高嶋政伸がカッコ良かったわけではない。積極的に誰かを弁護して守りたいと思ったわけでもない。ただ、裁判官のように人を裁くことに気後れがし、それ以上に検事のように人の罪を追求していくということが、どうしても自分には向かないように思えたのだ。

結局、法曹世界ではなく医療の現場に身をおくことになったわけだが、やはり今でも弁護士に対しての憧れはある。経済学部を卒業して就職した挙げ句の医学部進学だったので、母親や親せきからは、
「今度は法学部に行くとか言わんといてよ!」
とからかわれるが、それも悪くないかなぁなんて……、さすがに思わない。精神科医としての毎日で精一杯だし、考えてみれば精神科医は、家族や社会から批難されたり指弾されたりする人たちを、陰に陽に支えたり盾になったりして、ちょっとだけ弁護士に近い。少なくとも、裁判官や検事ではない。うん、やっぱりこの道が合っているんだ。

裁判官はなぜ誤るのか
そういうわけで、それでも法曹世界への憧れはあるし、その反動としての嫉妬や憎しみもある。特に検事が証拠捏造したり隠滅したり、裁判官が流れ作業のように審理したり、そういうことに強い憤りを憶える。幼い夢とはいえ一度は夢見た世界の人たちが、裁判の何たるかを忘れて愚かなことをしているのを見聞きするのは辛い。

こんな司法に裁かれる人たちを守るために、やっぱり今からでも弁護士を……、いやいや、そんな大それたことは考えず、世の人たちにこうして問うていくくらいにしておこう。

あなたの冤罪を、裁判所が正しく審理してくれると思いますか?

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死刑 人は人を殺せる。でも人は、人を救いたいとも思う

2 件のコメント:

  1. 弁護士…仕事内容も色々ですよねぇ。
    ある意味、腕のいい弁護士は
    「黒すら白に塗り替える」ことも出来ますし、
    最近CMでよく見る「過払い金請求」も
    弁護士の為のお小遣い稼ぎ…という声もあるようです。

    我が家も過去、旦那さんのギャンブル依存で
    自己破産でお世話になりましたが
    「弁護士さんに70万払って500万がチャラ」
    …と思うと当時はすがる思いでしたが
    複雑な気持ちです。

    いちはさんのご職業の医師という職業もそうですが
    弁護士、教職員、色々と「清くあって欲しい…。」
    そう願わずにいられない、
    つい期待してしまう職業でもありますね。

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    1. >ゆうさん
      なるべく「無私に」というのは思います。
      100%無私というのは、どんな職業でもあり得ないと思いますが、せめて相手の害にならないということは常に心がけるべきだと思います。

      過払い請求は、そろそろ顧客がいなくなってきて、一時期は減っていた医療訴訟がまた増えるという噂があります……。

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