2013年11月20日

生活保護のここが変

現在、この地域の生活保護の支給額は1人6万円ほどであるが、生保受給者の話によると「1人で約6万円の受給額が、結婚したら2人で10万円になる」らしい。つまり、1人1万円ずつ減額されるのだ。

「水道光熱費の基本料が一世帯分で良いわけだし、2人で生活すればその他の効率も上がり、必要なお金も減るはずだ」
という自治体側の言い分は確かにもっともだが、このシステムのせいで生活保護を受けている夫婦が偽装離婚することが多い。離婚の手続きをして、1人6万円の給付を受けつつ、どちらか一方の家で2人暮しを続けるのだ。

実はこの制度は夫婦だけでなく親子にも適用され、年老いた母と中年の息子の場合は「一緒に住むと10万円、別々の家に住めば1人6万円」ということになるので、敢えて息子が家を出て一人立ち(?)したことにする。あるいは親が持ち家で年金暮らし、同居の子が無職という場合には、子が生保申請しても「親と住んでいるから」という理由で拒否されるので、敢えて「世帯分離」を行ない、一人暮らしという形を作って生保申請をする。生活は今と変わらない「偽装親離れ」も横行している。

これだと、彼らはそれぞれに住居を持つことになり、自治体は誰も住まない部屋の家賃負担をすることになる(家賃は決められた上限までは自治体の負担である)。結局自治体は、2万円をケチったせいで、払う必要のない家賃を負担することになっているのだ。

この問題の解決方法は簡単で、「結婚したら(同居したら)給付金の合計金額を減らす」という制度を廃止すれば良い。そうすれば偽装離婚や偽装親離れが減るのは当然だし、中には「より効率的に生活するために」という理由で結婚する生保カップルや同居開始をする親子が出てくるかもしれない。このほうが自治体にとっては支出が少ないのではないかと思う。

この件で責められるべきは、偽装してまでより多くの金を得ようとする(というより、より損をしないように努力する)生保受給者より、偽装したほうがお得な制度を作ってそのままにしている行政のほうだろう。


2 件のコメント:

  1. 偽装した方がお得な制度、まさにその通りですね。

    先日、友人が障害者年金は精神科の通院歴と診断書があれば楽勝でイケるから!とHOW TOをレクチャーしていました。その友人もどうかとは思いましたが(汗)

    しかし、「偽って得する」 というのは本来の人間関係の縮図でもあるような気もします。自治体にとっても今のままではマイナスですし。生活保護の方も本来働ける方でしたら、金銭以外に労働から受け取る対価を受け取れずにいる現状はマイナスだと思います。

    いちはさんの書かれたように、今のままでは
    本質的に双方がWIN WIN な関係にはなりませんね。

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    1. >ゆうさん
      障害年金、俺は「あなたはもらえませんよ」ときっぱり言いますが、それでも診断書を書いてくれという人多いですね。で、もらえなかたら、それはそれで「診断書料を払ったのに」と文句を言う……。あれほど言ったのに……。

      障害年金はおいといて、生保には問題山ありですね。

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