2015年7月13日

イジメられても家族の前で明るく振る舞うのは心配をかけたくないから?

7月10日の産経抄(『優しい心があれば』)より。
家族の前で気丈に振る舞ったのは、心配をかけたくなかったからだろう。
イジメを苦に自殺した少年についてこんなことが書いてあったが、ちょっと紋切り型で安易な発想ではないかな?

13歳には13歳なりの、家族に対するプライドがある。「僕イジメられてるんだ」なんて家族には死んでも言いたくない気持ちはよく分かる。それから、家庭にイジメの影を持ち込みたくない気持ちもある。家族に打ち明けた時点から、家庭の中でもイジメが話題にのぼるようになる。数少ない大切な安息の場なのに。

でも、きっとこれも違うよな。
彼にしか分からない。
分からなかった。

今になってあれこれ推測したところで、それが的外れでも的を射ていても、彼にとっては意味がない。意味がないことを、したり顔で分析して書いてみせる。

ライターも俺も五十歩百歩だな。

ただ、イジメについてはこう思う。

イジメはなくならないし、なくせない。その前提に立って、自殺という最悪の結果を避けるためにどうすれば良いか、イジメをより軽症で済ませるためにはどういう方法があるのか、そういうことを模索するほうが有益だろう。

<関連>
イジメの深刻化を防ぐために
いじめ問題を考える 『十字架』
「イジメは犯罪」「大人と同じに厳罰を」の限界

7 件のコメント:

  1. 家族(とくに母親。父親は仕事で不在がちなので)には相談しているはずです。ただ、母親は子ども(とくに少年)の気持ちを察することができないことが少なくなく、楽観的に受け流してしまう(母親は子供の訴えを深刻に受け止めてないので記憶してない)。自殺が起きてから青天の霹靂と言わんばかりに驚き、自分の対応に問題はなかったと当然思っているので学校の対応がおかしかったんだと考える。。。
    子どもにとって学校が辛い場所であっても、家庭で親が親身になって助けてくれれば、自殺にまでは至らずに登校拒否で済んだはず・・・

    と私は思います・・・

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    1. 追記です。
      少年は親や教師など誰に相談してもあまり深刻に受け止めてもらえず、仕方ないんだと思うようになるでしょうね(学習性無力感)。ある意味、大人に対して、軽蔑しながら、だけど、親のことは家族としての愛情・憐れみを持っているので、責めることなく、気丈にふるまって、普通に暮らす・・・ 誰に相談してもしょうがない、この世に、大人に失望しながら、だんだん自殺の計画を立てていく・・・(もちろん、親と衝突し、衝動的に自殺や親への傷害をしてしまう少年もいることでしょうが)

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    2. >うーたんさん
      真剣に受け止める、というのは、きっと日々の積み重ねですね。小さい頃から、イジメの話だけでなくても、子どもの話に真摯に向き合う、そこまで難しく考えなくてもちゃんと話を聞くということをコツコツ続けられるかどうか。幼稚園や学校から帰ってきた子どもの「ママ(パパ)、あのね」に、まっすぐ耳を傾けられたか。そういうことが将来につながるのだと思います。

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  2. 子供の年齢にもよるけど、イジメをイジメと認識できてなければ、親に報告しようがない。
    今回の岩手の自殺の件は、イジメ被害を訴える先に、まともな所がなかったのかと思う。
    でも、あの年齢では、追い詰められたらそこまで知恵が回らないかなあ。

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    1. >ししとう43さん
      訴える先というのは、地域によって大きくバラつきありそうですね。
      ほとんどを田舎暮らししているもので、そういう機関があまりないイメージです。
      とはいえ最近はネットもあるので、匿名で辛さ哀しさを吐きだせる場所があるんじゃないのかなぁ、と思ったり、でもきっとそういう場所でもイジメはあるんだろうなぁと暗澹としたり……。

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  3.  いじめを受けていることを人に話すというのは、そのシーンを自分の中に再想起させることでもあります。心の傷を、自分で再びつつかなければならないのです。それが嫌で、自分は家族に言えなかった。(小学校時代の、単純で大したいじめでなかったけれど……。)
     嫌な例えですが、性暴力を受けた女性が、警察で微に入り細に入りその時の状況を聞かれてさらに心の深い傷を負う、セカンドレイプと似たような状況が、いじめのことを話す時子供の中で起きるんです。
     半端なケアではいけない。十分な心のケアをするのに力及ばない親も多いと思います。専門家に、、子供も、親も頼れる仕組みづくりが出来ると良いですね。

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    1. >匿名2015年7月13日 22:29さん
      まさにそう思います。
      家で打ち明ける、相談するというのも同じで、心の傷を自分でつついた上に、今度は時々親からつつかれるかもしれないという不安。親は心配して尋ねてくれるのだろうけれど、それでも思い出したくないことを思い出さないといけない。
      そう考えると、イジメの相談を受けた側の関わりかたというのはもの凄くデリケートで、一筋縄ではいかないですね。仰るとおり、セカンドレイプと似ているところが多そうで、対応方法として参考になることがありそうです。

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