大阪で若い姉妹が刺殺された。犯人はその数年前、17歳の時に自分の母親をバットで撲殺して3年間を少年院で過ごしていた。少年院では広汎性発達障害と診断を受け、裁判での精神鑑定では人格障害と診断されたこの若い男が、どういうふうに育ち、どうやって母や女性2人を殺害するに至ったのか。そしてこういう加害者、加害者予備軍を、この社会はどう扱っていけば良いのか。あれこれ考えさせられる本だった。
姉妹殺人に関しては同情の余地なしなのだが、母親殺害に関しては、筆者らが取材した幼少期から思春期までの生育環境を読む限りでは、決して許されることではないにしても同情はしてしまう。というのも、この殺害された母親がかなりだらしない生活をしており、加害者は育児放棄に近い扱いを受け続けていたからだ。本書を読むと、殺人や責任能力とは別の社会問題についても考えさせられる。
最後に、
「発達障害やアスペルガー症候群だから犯罪に手を染めやすいということは断じてない」
本書で何度となく繰り返されていることだが、俺もまったくその通りだと思う。
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グロテスクな一冊 『自閉症裁判 レッサーパンダ帽男の「罪と罰」』
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