2017年7月11日

あなたの何げない一言が人を変える

俺は小さいころからよく笑う子どもだったそうだ。もともとの顔が笑顔に近いのだろう。母からは、からかい半分に「仏さん顔」と言われ続けていたし、笑顔でいるのは良いことだとずっと思っていたのだが、小学校のある日を境にして自分の笑顔に対する感覚が変わってしまった。

経緯は忘れたが、5年生のときに担任の女教師から、
「ニコニコとニヤニヤは違うのよ」
ピシャリとそう言われたのだ。11歳の俺には衝撃的だった。そのときの俺は、笑っているつもりなど決してなかったからだ。むしろ真顔だった。多感な年ごろにとって、「ニヤニヤ」というのはイヤらしくて不快な響きがある。だから「俺の顔ってニヤニヤしているのか……」と落ち込んだのだ。

それ以来、どうも笑顔、というか真顔に自信が持てなくなった。どんなに真剣は顔をしていても、「ニヤニヤしていると思われているんじゃないだろうか」という不安がつきまとった。こうして俺は、真顔になろうとするときには、恐る恐る丁寧に真剣に気合を入れて、ちょっと睨むくらいの心構えで真顔をつくるようになってしまった。

そんな俺に次の転機が訪れたのは20歳のときだ。飲み会の席で、
「小学校の時、こんなこと言われたんだよねぇ、ニヤニヤしてるかなぁやっぱり」
と言ったところ、ある人から、
「怒った顔してるより全然いいじゃん」
と返されたのだ。「ニヤニヤなんかしてないよ」と否定するのではなく、「ニヤニヤしていても怒った顔より全然いい」というポジティブな意見は、俺にとっては大いなる救いであった。それからは、「ニヤニヤしていても良いんだ!」という強い思いをもって生きている。そのせいか、よく人に道を尋ねられる。旅行先でも聞かれる。病院の中でも呼び止められる。大いに得しているとは言えないが、少なくとも損はしていないと思っている。

小学校の教師も、大学時代の友人も、どちらも何げなく言ったことだろうが、それが俺の人生のありかたを大きく変えたことは、きっと二人とも知らないはずだ。これは俺自身が誰かに言葉をかけるときにも同じことが言える。願わくば、相手を良いほうに変える言葉を多く発していきたいものである。

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2 件のコメント:

  1. 小学校の教師としては、許せないほど安易な発言だと私は思うけどね
    子供のころに言われた嬉しかった言葉、いやだった言葉を相当憶えている私は、そう思います

    ....やっぱりさくらちゃんに似てるわ~~ 笑

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    1. >junkoさん
      ほんと、安易ですよねぇ。決して嫌な先生じゃなかったのに、あの言葉だけは今でも覚えていますもんw

      ところで、やっぱり似てますか!? 嬉しいです。

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返事が遅くてすいません。