2018年5月16日

酒を飲まないための小さな知恵を集めた本 『どうやって飲まないでいるか』


断酒して7ヶ月になる。これまでの俺を知っている人たちからは「意志が強い」という評価を受けることもあるが、その都度、
「本当に意志が強い人は適量でやめられる。意志が弱いから、そもそも飲まないという選択をしているだけなのだ」
と訂正している。

こう書いてみて、これはAA(アルコホーリクス・アノニマス)12のステップで真っ先に書いてあることと似ているなと思った。
私たちはアルコールに対し無力であり、思い通りに生きていけなくなっていたことを認めた。
別にこれを意識しているわけではないが、仕事関係で過去に読んだこの文章が頭のどこかに残っていたのかもしれない。

断酒は大変か、というと、幸いにしてそうでもない。淡々とやめている、というのが実情だ。多くのアルコール依存症患者をみてきた身としては、その点とてもラッキーだったと思う。

ありがたいのは、これまでの飲み仲間も変わらず「飲み会」に誘ってくれつつ、そこで「飲まない」ことを受け容れてくれていること。禁煙や断酒をした人にしつこく再開を勧める人もいると聞いたことがあったので、自分の周りにそういう人がいないことに安堵した。

本書は「酒を飲まないための知恵」を集めたものである。酒を飲みたくなったら甘いものを食べるとか、食事会で酒を勧められたときの断りかたとか、そういう具体的な話が多い。どれもとても平易な言葉で書かれているので、アルコール問題を抱えていて、かつ断酒の意思のある多くの人に勧められる。

注意しないといけないのは、断酒の意思がない人に無理に読ませてもまったく意味のない本で、そういう人に家族が「これ読みなさい!」と渡すのは百害あって一利なしということ。あくまでも「どうやって飲まないでいるか」であって、「どうやって飲ませないか」ではないのだ。

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