『オックスフォード英語大辞典』というとんでもなく膨大な辞典の完成には、ウィリアム・チェスター・マイナーという男性が多大な貢献をした。彼は資産家の息子であり、元外科医であり、また元陸軍将校でもあった。そして、現在の医学用語で言えば、統合失調症を患う精神障害者でもあったのだ。
彼には幻覚妄想に影響されて殺人を犯したという経歴があり、そのせいで人生の半分以上を精神病院で過ごすことになった。彼は精神病院の中で本を読み、そして辞典の編纂者と連絡をとりながら、妄想と現実の間を行き来していた。
本書は“狂人”マイナー博士と、編纂者のマレー博士を中心にして、オックスフォード英語大辞典ができあがるまでを描いたノンフィクション。原題の『The Professor and The Madman』を直接に訳した邦題に好感が持てる。
紙の辞書・辞典が好きという人(俺も好き)には、それらがどうやってできるのかの一端を知ることができてお勧めである。
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