2017年5月8日

キャッチャー6人を追ったノンフィクション 『キャッチャーという人生』


達川光男、山中潔、村田真一、大久保博元、谷繁元信、里崎智也という6人のキャッチャーに取材してあるノンフィクション。この中で俺が名前を知っているのは達川、村田、大久保の三人。顔が分かるのは大久保だけだが、達川はなぜか声が思い浮かぶ(笑)

序盤は達川と村田を軸に話が進む。最終的には村田に戻るので、本書の主軸は村田真一だろう。村田は4歳の娘さんを交通事故で亡くしているそうだ。ちょうど長女が4歳から5歳になったばかりというのもあって、村田の辛さが我がことのように沁みた。

野球の本は何冊も読んだし、読み終えるたびに次の一冊を探している。こうやって多くの野球関連ノンフィクションを読めば読むほど、もっと読みたくなる。それなのに、一向にプロ野球や甲子園の観戦をしようと思えない俺は、野球好きなのかなんなのか……。

2017年5月4日

躁うつ病の治療薬リチウムによる中毒、糖尿病治療薬フォシーガによる脱水

これまで定期的にリチウムの血中濃度は測定していて、特に問題はなかったのに、ある日リチウム中毒で運ばれてきた人がいた。過量服薬したわけでもない。予想される経過はおよそ以下のとおり。

数日前、おそらく何らかの軽微な感染症にかかって食事と飲水が不足した。その後、

脱水 → 軽度の腎不全 → 血中のリチウム濃度上昇 → リチウムの副作用で食思不振が悪化 → 脱水悪化 → 以下、負の連鎖

さらに、糖尿病治療薬であるフォシーガも内服していたので、脱水に拍車がかかったと予想される。シックデイ(体調不良で食事がとれない日)でも、糖尿病治療薬を含めたすべての薬を律儀に内服していたのだ。

このフォシーガという薬は、内服すると尿中に糖がどんどん排出される。どれくらいかというと、1日で約200kcalぶん。このおかげで少しずつだが体重が減る。糖尿病治療とダイエットの一石二鳥で、夢のような薬に聞こえるが、リスクもある。

まず、尿中の糖が増えるので、糖を好む微生物による尿路感染症をきたしやすくなる。それから、利尿作用もあるので、まめに水分補給しないと脱水になる(Aさんのように)。脱水から、脳梗塞や心筋梗塞を起こす恐れもある。

そういうわけで、転勤していった敬愛する内科医K先生いわく、
「こうしたリスク説明や飲水指導を重々にしたうえで、理解力と実行力のある人にしか勧められない」
とのこと。

この人もこうした説明は受けているはずだが、診察室での生活指導は、重々にやったつもりでもこういう結果になることがままある。

さて、リチウム中毒に話を戻そう。

リチウムには解毒剤がない。重症の場合には透析が必要になるが、そこまででもない時には、ひたすら輸液してリチウムを尿中に排出させるしかない。この時、利尿薬としてラシックスを用いるとリチウムの再吸収を促すので禁忌である。大事なことなので、もう一回。

リチウム中毒に対して、ラシックスは禁忌。

これは今回いい勉強になった。


※以上、医療従事者でない人にも、なるべく分かるように書いたつもり。


「リチウム中毒にラシックスは禁忌」は、これを読んで知りました。

2017年5月2日

不眠に関する誤解や迷信を捨て、快適な睡眠を取り戻そう! 『8時間睡眠のウソ。』

精神科診療では「不眠」の訴えがとても多く、詳しく問診すると、いろいろなパターンの人がいる。

ある高齢男性は、内科で睡眠薬をもらっているのに不眠が続くという。
「何時に寝つくんです?」
「5時です」
「そりゃキツいですね。そんなに寝つけないんですか?」
「いや、寝つきは良いんです。ただ12時前に目が覚めて、それからが眠れないんです。7時くらいまで寝ていたいのに」
「え? 5時って、夕方の5時!?」
「はい」

驚くことに、この男性の場合、17時から翌日の7時まで14時間も眠りたいという希望があり、それが叶えられず「眠れない」という訴えになり、「不眠」を改善すべく内科で睡眠薬を処方されていたのだ! せめて21時に寝るよう説得したが、「漁師だったんで、(夕方)5時に寝て、(夜中)12時に起きて仕事するのが習慣だったから」と受け容れてくれなかった。薬を欲しがる男性に、薬ではどうしようもないことを説明して処方はしなかった。そんな診察を何回か重ねるうち、かろうじて21時ころの就寝にまでこぎつけ、それで「不眠」は大幅に減った。

ある中年男性は、一日にコーヒーを10杯以上も飲み、寝つけないからビールを数本飲むという。仕事はしていないので起床は遅い。この人には、コーヒーの量と時間に制限をかけ、禁酒を指示した。これで「不眠」はかなり改善した。ただし、こちらには薬物療法も要したが。

他にも挙げればキリがないくらい、「不眠」の背景にある「睡眠習慣のバリエーション」は豊富だ。


本書の著者は三島和夫先生。国立精神・神経医療研究センター部長である(平成26年時点)。睡眠に関する疫学、科学的な研究に基づいた正確な基礎知識が、読みやすく分かりやすく書かれている。思わず「そうなんだぁ」と人に話したくなるようなものもある。たとえば、「22時から2時の睡眠が美容に良い、というのはデタラメ」「人の体内時計が25時間というのは間違いで、日本人は平均で24時間10分(アメリカ人は24時間11分)」「寝つきやすい時間帯は個人差があり、50人で調べると最大で7時間も違う」などなど。

また、「不眠」と「不眠感、熟眠感」は一致しない、ということにも触れてある。家族の誰が見ても「メチャクチャよく寝ている」のに、本人だけが「寝た気がしない」というのは、診察室での日常茶飯事である。

「不眠」への耐性は人それぞれで、多少の不眠があってもパフォーマンスが落ちない人から、劇的に能率が下がる人までいるらしい。また睡眠には遺伝も関係しているそうで、本書でも遺伝子については紹介されていた。

統計的には、平均睡眠時間は30代で7時間をきる。45歳だと6時間半になる。これに対し、病院の消灯時間は21時である。スタッフの勤務時間や人員配置の問題で仕方ないのだが、入院患者が21時に寝て3時過ぎに起きてしまうのは当然で、これを「早朝覚醒」「不眠」と評価するのは気がひける。まして、睡眠薬をつかって起床時間を遅らせるというのは、果たして治療的と言えるのかどうか……、悩ましいところである。

<関連>
医療従事者のかたは、こちらを強く推奨。
人生の3分の1は寝ているんだぞ!! 『極論で語る睡眠医学』

2017年5月1日

企業戦士向けの自己啓発本 『自衛隊式 最強のリーダーシップ』


企業戦士を対象としているようで、具体例では“取引先”や“競合他社”とのやり取りが想定されている。医師のリーダーシップにまるっと応用できるわけではないが、チームを率いるという点で参考になる部分も多々あった。いくつか記憶に残るものがあったので抜粋しておく。
戦術の失敗は戦略で補うことができるが、戦略の失敗は戦術的勝利だけでは補えない。
隊員を掌握せよ。そのためには、顔と名前を覚えろ。
一人の愚将は、二人の名将に勝る。
まず拙速で合格点を目指し、その後に完全性を目指す。
自分としては、ものすごく参考になったというわけでもないので、強くお勧めはしない。興味のある人で、時間があればどうぞ、という感じ。

2017年4月29日

絶対感覚戦隊アルティメット

絶対音感レッド。
彼はメジャーだからリーダー。特記事項なし。 平凡。

絶対重量感イエロー。
物の正確な重さが見ただけで分かる。よく食べる。自分の体重は分からない。

絶対温度感グリーン。
物の温度、外気温などが正確に分かる。摂氏ではなく華氏であらわすことにこだわりがありウザイ。

絶対距離感ピンク。
正確な距離を把握する。物の長さも分かる。人との距離をとれなくて、相手、特に男性を戸惑わせる。

絶対色覚ブルー。
色の正確な波長を認識する。メンバーのコスチュームの色使いへの注文が細かい。

一匹狼のはぐれ戦士、絶対時間感覚ブラック。
戦隊の長時間労働に嫌気がさして抜け出した男。とはいえ正義感は強く、悪、特にブラック企業と戦うことに熱意を燃やす。

絶対時間感覚ブラックは絶対距離感ピンクに惚れていて、口説き文句は常に、
「君と僕とで愛の速度を測ろう!」