2017年8月1日

依存症治療は難しい 『依存症』

酒は好きだ。しかし、酒がないとやっていけないほど、日々に倦んでいるわけでもない。むしろ、酒を飲まない日の方が読書や映画など、自分の時間を楽しめる。子どもたちと一緒に生活するいま、以前ほどには飲んでもいられない。
アルコール依存症者の妻たちもおそらく何百回とこう詰問したはずだ。
「どうしてそんなに酒が飲みたいの」と。
眠れないから、仕事の付き合いだから、食欲増進のため、思ったことが言えるから、寂しいから、頭にくることが多すぎるから……さらには「女房の顔がブスだから」というものまである。
実はこんな質問は愚問なのだ。
彼らはもう理由なく飲んでいるのであって、このような理由は単に周囲を納得させる後づけに他ならない。

思えば、酒量が増えたのは医学生時代であった。それまでも酒は飲んでいたが、医学生になって友人や後輩たちと飲むことで、「飲み過ぎる楽しさ」というものを覚えてしまった気がする。
アルコールと出会うまでの人生がどのようなものであったかによって、飲酒の快感は変わってくる。
しらふの時でもまあまあ楽しい人間関係が持て、そこそこ自惚れも強い人がアルコールを飲んで得る快感と、しらふの時は自分にまったく自信がなく人と会う時も緊張が強い人がアルコールを飲んで得る快感とはどちらが強いだろうか? 
変化の落差の大きいほうが強いだろうことは容易に想像できる。
日本は、アルコールに関しては非常に寛容な国である。世界一と言っても良いくらいのようだ。
そのかわり薬物に対する取り締まりは厳しい。世界でただ一つの国にしか見られないアルコールの自動販売機(これが日本にしかないという現実を知らない人が如何に多いか)はそのようなアルコール容認文化の象徴である。つまり嗜癖の対象をアルコールという薬物に一点集中させることで、他の薬物の乱用を相対的に防いできたといえないだろうか。
俺も、酒の自販機が日本にしかないとは知らなかった。でも確かに、これまで行ったどの国にも酒の自販機はなかった。というより、自販機自体がそんなに多くなかったが……。

本書に、著者がカウンセリングで用いている依存症チェックが紹介されている。

1.ある人Aが習慣的に○○を行なう。
2.それによってある人Bが困る。
3.それを知りつつ、ある人Aはその行為○○がやめられない。

○○に入るものは何でも良い。身近で思い当たる人はいないだろうか。

ちなみに、著者が所長を勤める原宿カウンセリングセンターは、30分のカウンセリングで6000円。高いと思う人もいるかもしれないが、弁護士相談料だって同じくらいである。こころの悩みは、そんな安くお手軽に解決できるものではないのだ。

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