2015年9月8日

安保法案に興味がある人であれば立場を問わず読んでおくべき一冊 『メディア・コントロール―正義なき民主主義と国際社会』

安保法案というと、賛成派でも反対派でも、多くの人が「アメリカ」の存在を意識すると思う。ではそのアメリカが、どういう外交戦略をとり、実際にどういうことをしてきたのか、ということを真っ正面から指摘して突っ込んでいるのが本書。著者は現代における知の巨人とも言われるノーム・チョムスキー


2001年9月11日のテロ以前は、あまり深く考えることもなくアメリカ礼賛主義であったが、その後の対テロ戦争という大義と、アフガニスタン爆撃やイラク攻撃などを見て、アメリカはちょっと危ない国なのではないかと感じ始めた。素晴らしいところがたくさんあるのは確かだと思うけれど、どうもそれだけじゃないぞ……、という警戒感。

一般人を巻き込んだテロへの報復が大義として成り立つのなら、アメリカの首都ワシントンだって他国から報復攻撃を受けるだけの充分な資格があるではないか。ベトナムを見よ、ハイチを思い出せ、アフガニスタンやニカラグアやパナマでやったことをふり返れ。というのが、これまでアメリカがやってきたことを「大義」という色眼鏡をつけずに見据えたチョムスキーの、ちょっと過激だが、確かに一理あると思わせる意見。

今のところ、俺は安保法案に対して消極的賛成派だが、本書は賛成か反対かに関わらず、安保法案に興味がある人であれば立場を問わず読んでおくべき一冊だろう。平和憲法云々の議論は置いといて、アメリカと超親密な蜜月関係を築いて保つことが本当に良いことなのかどうか、考えさせられること請け合いである。

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