妻のネックレスのチェーンがグチャグチャにもつれることがある。俺はそれを解くのが好きだ。最初はどうにもならないほどのもつれ具合なのに、ある時点でスッとほどけ始めて、そこから先はとんとん拍子。きれいな一筋の輪に戻った時には何とも言えない爽快感がある。
ジェフリー・ディーバーのミステリを読むと、それと似た快感を味わうことができる。飛び散らかった人物や物ごとが、あるページで収束して「なるほど、そうか」と合点がいく。ディーバーの小説では、それが1回ではなく2回、3回と繰り返される。そして時には、合点がいったはずのことが、すべて見事にひっくり返されてしまう。
この気持ち良さを知らずに過ごすなんてもったいない! ぜひともディーバーの世界に浸ってみて欲しい。
ちなみに翻訳は第1作目から同一人物で、回を重ねるごとに翻訳力が上達している。翻訳家はプロである。プロでも上達する。というより、上達しない者がプロを名乗ってはいけない。本作の翻訳は、これまでのシリーズで最高だった。
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